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懺悔T:成果主義で現場のマネジメント力を弱体化させた

はじめに

成果主義コンサルタントの懺悔ということで、今日は「想定以上に現場がインセンティブに反応した」という話をしていきます。

成果主義の思想自体はシンプルです。しかし、シンプルが故に、現場ではインパクトが強すぎました。自分の報酬がかかっているので、現場では目標設定を低く したり、評価シートに記載されたことしかやらなくなってしまいました。若い社員が「評価シートに書いてないことは、やりたくありません」「この仕事は評価 にどう影響するのですか?」などと反論して、管理職の頭を悩ましていました。管理職研修ではこのようなことを何度も相談されました。

ここまでは、よく成果主義の問題点として取り沙汰されている内容です。しかし、これらの現象はまだ軽傷です。若い社員だけではなく、知らないうちに管理職 のマネジメント力まで侵されてくるのです。成果主義の導入に加え、他の施策も複合的に作用して職場の活力・人材育成力が侵されます。そのステップを簡単に 紹介していきます。

  1. 経営が悪化するので、人件費を抑制する必要がある。
  2. 人件費抑制策として、人員を削減する施策を打ち出す。
  3. なぜか現場の人員から削減を始める。
  4. 人件費を増やせないので、成果を出した人のみに報いる仕組み(成果主義)を導入する。
  5. ひどいときには、マネジメントの本質を理解していない経営者や人事部長が、管理職にも個人目標を持たせる。
  6. 管理職は会社の方針通りに、個人の目標に向かって走り出す。
  7. そうすると職場のこと・人材育成は後回しになる。
  8. ますます成果が出にくくなる。
  9. 管理職は目標達成に向けて、大忙しとなる。
  10. いつの間にか職場が崩壊するということが起きるのです。

上記のステップを見てお分かりのように、管理職はインセンティブ向かって動いているだけです。ごく一部の優秀な管理職は職場の活性化・人材育成の重要性を 理解しており、マネジメント方法がぶれることはないのですが、新米の管理職・マネジメントを理解していない管理職は、素直にインセンティブ=会社の方針通りに動きだします。

その結果、企業で長年培われてきた風土・人材育成力が失われることになるのです。数年経つと、昔の風土は忘却の彼方にいってしまいま す。組織の人材育成力が根本から損なわれてしまいます。

今回、マネジャーについて前提条件を皆さんと共有したいと思います。ちまたには、マネジメント論・リーダーシップ論があふれかえり、相当量の情報があふれています。その中で、「優秀なマネジャーとはどんな人か?」という問いに対する解を共有したいと思います。

いくつかの本を紹介していきながら、この問いを確定していきたいと思います。

まずは、ピーター・ドラッカー著、上田惇生訳の『現代の経営(上)』(ダイヤモンド社)にはこう記されています。ドラッカーについては、説明を加える必要はないと思いますので、文面を載せるにとどめます。

「マネジメントとは、人の仕事をマネジメントする者であり、他の人間に仕事をさせることをもって自らの仕事とする者であるという答えである。」

次に紹介したいのは、私が一番真髄をついていると思うリーダーシップ論・マネジメント論を説いた本です。著者はアメリカのギャラップ社に17年勤め、そこ で200万人にインタビューした結果、導き出した結論をいくつも本にしています。

その本は、マーカス・バッキンガム著、加賀山卓朗訳の『最高のリーダー、 マネジャーがいつも考えているたったひとつのこと)』(日本経済新聞社)です。200万人にインタビューした結果を、"たったひとつのこと"にまとめよう と試みた書籍です。マネジメント論・リーダーシップ論に興味のある方は一度読むことをお勧めします。この本には、

「すぐれたマネジャーは、部下の才能を業績に結びつけることが何よりもうまい」

「マネジャーとして失敗しないための四つのスキルは、『きちんと人を選ぶこと』『期待する仕事の内容をはっきり示すこと』『褒めることと認めること』『部下に気づかいを示すこと』
(内容を要約)」

「部下一人ひとりの特色を発見し、それを有効利用すること」 「一人ひとりの強みを見つけること」

とあります。仕事と人を結びつけること、一人ひとりの特色・強みを活用する必要がありそうです。

最後に、私が尊敬する感性論哲学者の芳村思風先生の著書も参考にしてみます。芳村思風著の『人間の格』(コスモ教育出版)にはこのようなことが書かれています。

「人間は寝ている以外の時間をほとんど、一日の大半は会社で過ごします。そこに本当の生きがいが見出せなかったら不幸です。だから会社は、全社員が自分の 能力が最大限に発揮できる最高の場所だといえるような喜びを与えてやらなければならない。社員一人ひとりがこの会社こそまさに自分の能力を最高に発揮でき る場所だといえるような仕事を経営者は与えていかなければならない」

「大切なことは、短所には目もくれないで、長所だけ見つめ、その長所を限りなくのばしていくようにすることです。長所だけを見つめ、それを限りなく伸ばしていって、決して人後に落ちない優れた能力を獲得することができたら、短所はその人の面白みに変わる」

私の自論ですが、「優秀なマネジャーとは、自分の組織の業績と部下の強みを結びつけることが上手な人」と定義しています。自部門に課されたミッションと人 材育成(強みを発揮すること)を融合できる人が優秀なマネジャーだと思っています。

ある時、トイザラスの店長から同じこと聞かされました。「私はバイト・ パートのクビを切ることはしないのです。商品棚の整理をやらせて向いていなければ、レジで接客、それも向いていなければ店頭の装飾をやらせてみます。何か しら得意なものはあるようです。人材の配置はパズルみたいなものですね」こんなことを言っていました。

マネジメントは「組織のミッションを定義すること」「部下の強みを生かすこと」が重要です。成果主義はマネジメントに逆行している気がします。成果主義の おかげで「組織のミッションを定義すること」は大分定着してきましたが、「部下の強みを生かす」ことを置き去りにしてしまったようです。そこで、私は「部 下の強みを生かす」人事制度を探求していくことになりました。

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