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昇給可能額を算出する

年収上限を決定したのちは、人件費コントロールの肝となる昇給額について触れていきます。毎年の昇給額をいくらにするかが、中長期の経営に大きなインパクトを与えます。年功主義の報酬システムでは、物価は上昇することを前提にシステムが組まれ、昇給額をコントロールできませんでした。これが一番の問題となりました。成果主義の報酬システムでは降給という概念を盛り込んだり、昇給額をコントロールすることにより、給与総額をコントロールしてきました。

『成長主義』人事制度では、「昇給可能額」という概念を提案します。現在の会社の経営・人員構成・財務体質に合わせて中長期の人件費推移を見据えて、「昇給可能額」を決定していきます。「昇給可能額」を算定し、それを基準に平均昇給額が決まるように報酬システムを整えていくので、中長期的に自然に人件費をコントロールできる仕組みなります。

もう少し付け加えると、会社の実力で「昇給可能額」を決定するので昇給額については、システム導入後検討する必要がなくなります。人件費コントロールは「昇格者数」でコントロールすればいいのです。ここは重要です。昇格者数で人件費をコントロールする仕組みに移行できるのです。

それでは、昇給可能額の算定方法について解説していきます。

全社員分の「社員番号」「氏名」「バンド」「年齢」「月例給(所定内賃金:月給制度で毎月固定なもの)」データを準備します。このデータを「年齢」で上から降順でソートします(定年に近い方が上にきます)。一番下に基本給の合計を計算しておきます。

横に1年後・2年後・・・10年後まで展開します。ここで、全員に現在の平均昇給額(【昇給可能シミュレーション】の昇給予想額の欄に入力)を加算し、退職・新入社員を考慮して合計金額を算出します。厳密に言うと中途退社・中途入社社員も考慮する必要がありますが、中途退社社員の総月例給=中途入社社員の総月例給と仮定してシミュレーションをしています。このバランスが大きく崩れるようでしたら、シミュレーションに加えてください。

次に、現在の平均昇給額(【昇給可能シミュレーション】の昇給予想額の欄に入力)の数値を変えてみてください。それをグラフにまとめたものが【昇給可能シミュレーショングラフ】になります。このグラフは、会社の人員構成(特に年齢構成)によって会社ごと独自の折れ線になります。

【昇給可能シミュレーショングラフ】グラフでは、約10年間退職者が少なく、10年後から退職者が増えだす人員構成です。当面、人件費(月例給与総額)は増えますが、10年後に安定し始めます。10年間の人件費増を容認できる経営の体力があれば、6000〜8000円の間の昇給額が妥当と決定することができます。

「昇給可能額」は、グラフと経営者の将来への覚悟で決定されるものです。

参考までに、日本経団連の発表によると、

  中小企業(従業員500人未満)  大企業(従業員500人以上)
昇給率
昇給額
昇給率
昇給額
2005年
1.47%
3,743円
2006年
1.54%
3,901円
1.76%
5,813円
2007年
1.64%
4,149円
1.90%
6,202円

です。中小企業(従業員500人未満)であれば4,000円、大企業(従業員500人以上)であれば6,000円以上の平均昇給額が確保したいものです。

昇給可能額シミュレーション

昇給可能額シミュレーショングラフ

全社の平均昇給額を確定したのちに、バンド別の昇給額を決定していきます。ここでは、全社の平均昇給額を6,000円に確定したとしましょう。

平均昇給額を6,000円に合わせるために、バンド別昇給額をそれぞれ決定しくのですが留意点があります。新卒社員の初任給との整合性を確保しましょう。「高卒」「短大・専門学校卒」「大卒」「院卒」の初任給を決めていると思います。ドクター卒は人数も少ないでしょうから、除外して考えます(ドクター卒レベルはバンド2に設定する必要もでてくる可能性が高いです)。基本的に、高卒+4年=短大・専門学校卒+2年=大卒=院卒−2年と月例給水準を合わせる必要があるでしょうら、18歳〜24歳までは別途昇給額を決める必要があります(図表参照)。この年代は初任給ありきで昇給額を決定する方がいいでしょう。他の年代との整合性が取れないことは、あまり気にしないことです。

ここで、ひとつ重要なポイントを説明します。よく初任給を変えると、賃金表全体を変えなければならないと考えている方がいらっしゃいますが、この仕組みを導入すると初任給を変えても、18歳〜24歳までの昇給額を変えればいいだけです。18歳〜24歳までの昇給額設定に多少の工夫が必要ですが、25歳以上の賃金表には影響を与えなくて済みます。賃金表を変えることにより人件費が膨らむといった理由で、初任給を上げることを伸ばしている会社は是非この仕組みを入れてみてください。

上記理由で、バンド1の24歳までの平均昇給額は決定します。バンド1の25歳以上および他バンドについてはバンド別平均昇給額をシミュレーションしながら、全社平均昇給額の6,000円に合わせるようにしてください。図表を参照にすれば、よくわかると思います。

バンド別平均昇給額

(バンド別昇給額格差 500円の根拠)

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