コラム

Vol.88 研修講師は話をしないことが一番大切

2018/05/23

先日、2泊3日で熊野に行ってきました。熊野古道も歩きましたが、普段訪れることの少ない由緒ある神社などを中心に歩いてきました。木のパワー・水のパワーを頂くことができました。限界集落に宿泊し、森林の杉の課題、獣害の課題、後継者の課題など実際に聞くことができ、考え方が少し変わりました。

1日1組の宿です。熊野の森は疲れた心・体を一気に癒してくれます。
興味のある方は、今度一緒に行きましょう。
http://minpaku.akakura-kumano.com/

さて、本題に入ります。

Index

  1. 研修講師は話をしないことが一番大切
  2. 人事・教育担当者に読んで欲しい書籍『ジェダイの哲学』

研修講師は話をしないことが一番大切

秋口の出版に向けて、社内研修や社内講師の効果向上を目指して、「社内研修の効果を最大限に引き出すための対話型研修 ~研修設計・ファシリテーション・場づくりの技術~(仮称)」という書籍を執筆しています。ゴールデンウイークに書き上げましたので、その一部を紹介したいと思います。

対話型研修を開始したのは、「研修は講師が話をしないことが一番だと気づいたからです。講師が一方通行で話をするのは、集合研修の目的・受講者の心の成長・受講者のモチベーションの視点で、できる限り避けた方が良いと思います。この3つの視点で、集合研修とはどうあるべきかをお伝えします。

【集合研修の目的】

集合研修とeラーニングなどの自己学習の大きな違いは、受講者同士のコミュニケーションにより、気づきが深まったり、相互理解が深まったり、組織の共通言語化が促進されたりすることにあります。リアルに会って学習する目的は、受講者同士のコミュニケーション(できれば対話)によって達成されるといっても過言ではありません。よって、集合研修のカギは、講師が学校の先生のように学習促進のために解説することではなく、受講者同士のコミュニケーションを促進するサポート役になることに意義があります。

そういった意味で、当日話をする内容を設計するよりも、
(1)研修のゴール設定
(2)研修で気づかせたいこと・共通認識させたいことの設定
(3)効率よい気づき・共通認識のためのお題・設問・演習づくり
が大切になります。
研修の事前準備の方が10倍大変で、研修当日は、講師は見守ること・サポートに徹する感じです。

【受講者の心の成長】

成長は、能力的な成長と心の成長の2種類があります。ここでは心の成長を中心に話をします。心の成長は、気づきによってのみ起きます。人は自分では「正しい」と思って、正しいと思い込んでいる判断・行動を選択したり、その習慣を繰り返しています。その判断・選択・習慣などを客観視することで、「もしかしたらそれは正しくはないかもしれない」という気づきが起こり、自己変容につながります。自分の思考の枠に気づき、それを手放すことが心の成長そのものです。その気づきは、講師が一方的に話をしても起きません。なぜなら、講師の話はその人独自のフィルターを介して、解釈されるからです。このフィルターを通す以上、その人が自分にとって都合が良い解釈をしがちです。その気づきは、講師と受講者、受講者間の対話によって、肩の力を抜いて、エゴが発生しない状態でのみ起きます。その場を作ることが、講師の役目になります。

【受講者のモチベーション】

インストラクター養成講座では、やらされ感をなくするための施策を考えるにあたり、「皆さんが体験した研修で、『やらされ感がある研修』とはどんな研修でしたか?思いつく限り書き出してください。」という演習をやります。受講者の皆さんからは、「講師が一方的に話をする」「興味が持てない」「強制参加」などの意見がでます。これを「講師がコントロールできる」「講師がコントロールできない」の2つの軸に分けて整理をするとコントロールできる部分を抽出しています。毎回、その中でも最も多い意見が「講師が一方的に話をする」です。

つまり、やらされ感を和らげるため(モチベーションを落とさないため)には、講師が一方的な話をしないことにつきます。そして、講師から押しつけの意図を感じると、受講者は敏感に察知します。講師として、一人ひとりの気づきを宝のように大切にして、気づきを押し付けないというスタンスも大切かもしれません。

今回、対話型研修の概念を整理しました。対話型研修とは何か、対話型研修の基本的な流れ、設計方法、研修当日の講師のファシリテーション方法などを整理しましたので、書籍が発売されたらご覧ください。

人事・教育担当者に読んで欲しい書籍 『ジェダイの哲学』

書籍名:『ジェダイの哲学』
著者名: ジャン=クー・ヤーガ(とありますが作者不詳らしいです)

スター・ウォーズが好きな方は読んでみてください。実は、成人の発達理論を上げるワーク構成は、この本を軸に整理しました。
「恐れ、感情、執着に支配されない生き方」
「大切なことはすべてスター・ウォーズが教えてくれた」
「人生は、”手放せば”開ける」
など帯に書いてありますが、まさにその通りなのです。

我々が歩もうとしている世界観が、既に1970年代に映画化されていることに感動すら覚えます。まずは、スター・ウォーズが好きがスタートで良いと思います。お好きなところから実践してみてください。あなたもフォースが使えるようになります。

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