コラム

組織進化のカギは女性リーダー登用にあり! ~内省と対話が育む“女性性”リーダーシップとは?~
HRカンファレンス2025春を終えて

2025/05/16

5月15日のHRカンファレンスにて弊社島森が「組織進化のカギは女性リーダー登用にあり! ~内省と対話が育む“女性性”リーダーシップとは?~」をテーマにお話をさせていただきました。 当日は時間が限られており、お伝えしきれなかった部分もありました。そこで、今回はアンケートでいただいたご感想を交えながら、講演内容を補足いたします。

講演の音声概要

今回の講演内容を、NotebookLMの音声概要機能を使って要約しました。ポイントがわかりやすくまとまっていますので、ぜひご視聴ください。
なお、一部に不自然な日本語表現が含まれている箇所がありますが、あらかじめご了承ください。

女性リーダーシップに興味をもったきっかけ

昨年秋、某大手商社グループ会社において、約100名を対象に職場リーダー研修を実施しました。この研修を通じて、質の高いリーダーシップを発揮する女性が確実に増えていることを強く実感しました。同社では、約20年にわたり女性活躍推進に取り組んでおり、今回の成果はその積み重ねによるものだと、受講者や人事担当者からフィードバックをいただいています。

さらに、研修プログラムの内容を、従来の「スキル系」(講演でお伝えした「普遍的能力・コンピテンシー」に相当)から、「リーダーのあり方系」(同じく「価値観・アイデンティティ」に相当)へと軸足を移したところ、女性参加者の発言が著しく増えたという声もいただきました。

この変化をきっかけに、女性リーダーシップのテーマをさらに深掘りしていこうと考えるようになりました。

本当はこの講演で女性を元気づけたかった

アンケートでいただいた声に、

「男性に負けないぞ!という気持ちが改めて湧いてきました。」
「本日のセミナーで女性性を意識的に活かしていけるようにしたいと思えました。」
「女性リーダーを目指しているが、まだ自信が持てない理由が分かった気がする。」

とあり、非常に嬉しかったです。
今回の講演が、少しでも女性性を活かしたリーダーシップ発揮の後押しになっていれば幸いです。

無自覚なバイアスとは戦えない

まずは、アンケートで寄せられた声をご紹介します。

「無自覚のバイアスは、自分にも上層部にもあると思いますので非常に怖いと感じました。」
「女性性リーダーが評価され、その数が増えてきたときに、男性(性)リーダーが自身の地位を失うことを恐れる危機感が増大する可能性もあるのかなと思いました。」

実は、僕は無自覚なバイアスと闘うのを諦めています。
だから、女性に焦点をあてた施策(女性リーダー育成プログラム)に焦点をあてています。

多くの経営層は、自我発達理論における「発達段階4.0」にあると想定されます。
この段階にある方々は、高度な論理的思考力を備えている一方で、自らの無意識のバイアスには気づきにくい傾向があります。そのため、理論的に丁寧な説明を尽くしたとしても、「うちの会社は特殊だから」「女性がリーダーシップを発揮するにはまだ時間がかかる」といった論理的な”言い訳”を即座に思いつき、議論の余地を与えません。

一方、発達段階4.5に到達すると自らの内面を客観視しコントロールできるようになります。
このレベルに達している経営者であれば、自身の無意識のバイアスにも気づきやすく、すでに女性活躍の推進にも積極的に取り組んでいることでしょう。

無自覚なバイアスとロジカルシンキング

「女性はロジカルシンキングが不得意」といった前提で、ロジカルシンキング研修をご依頼いただくことが少なくありません。しかし実際には、男性性リーダーは線形的な思考を、女性性リーダーは非線形的な思考を得意とする傾向があります。

現代社会は複雑性が増しており、答えのない状況に対する非線形的なアプローチが、ますます重要になっています。それにもかかわらず、素晴らしい女性性リーダーの思考スタイルを「ロジカルに考えられない」と否定しているように感じます。

もちろん、ロジカルシンキングを学ぶこと自体は重要です。
しかし、現場のマネジャーが女性性リーダーに対し「論理的思考が足りない」などと指摘し、インポスター症候群(自分の能力を過小評価してしまう心理状態)を助長するような言動は控えてほしいと思います。女性に対して過度に線形思考を求めることは、無自覚なバイアスの一例です。

御社の女性活躍推進度は?

講演中、皆さんに次のように問いかけました。
「皆さんの会社では、女性従業員の中で、発達段階4.0以上(マネジャー以上に求められるレベル)に該当する方が、どのくらいの割合でいらっしゃると推察しますか?」

チャットの回答は、「20%」と答えたグループと、「0~5%」と答えたグループに分かれました。
リーダーシップ力には「環境依存性」があることを踏まえると、20%と回答された企業は、女性リーダーの登用が順調に進んでいると自己評価してよいでしょう。今後も積極的に登用を進めるとともに、外部から優秀な女性リーダーを採用して、人的資本の強化を進めてください。

無自覚なバイアスに気づく

今回の講演でも皆さんとの対話にチャットを使用しましたが、弊社の研修では、チャット機能を積極的に活用しています。同じインプットであっても捉え方は人それぞれ異なり、他の参加者のコメントを通じて、自分にはなかった視点に気づけることが深い学びにつながるからです。

アンケートでも、次のようなご感想をいただきました。

「チャットの内容を色々眺めているのも、その方のスタンス(バイアスも含めて)が浮き出てくるようで興味深かったです。」

まさに、その通りだと感じました。

個々人が持つバイアスや価値観も含め、多様な視点を考慮できるようになるのが「4人称視点」のなります。ここでご紹介した、他の方の感想をご覧いただきながら、自分の中にあるバイアスや価値観にも触れてみてください。これこそ、内省力が高まります。

最後に

長くなりましたが、講演で感じたことをつらつら書きました。

最後に、上記の理由から、「経営層のバイアスと闘う施策」や「男性の女性性・EQ向上」に注力する前に、「女性の女性性解放とリーダーシップ向上」に焦点を絞って取り組んでいます。ぜひ「女性限定グループリフレクション(女性リーダー養成プログラム)」をご一緒に推進できることを期待しております。

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