コラム

Vol.175 生成AIの時代に必要なリテラシー:これから身につけるべき力とは

2025/04/10

生成AIの時代に必要なリテラシー:これから身につけるべき力とは

生成AIを利用する中で、まるでメンターのような上司、優秀な部下、一緒に並走してくれる仲間のように感じることが多くあります。

・上司役として: メンターのような立場で、さまざまな助言を与えてくれます。
・部下役として: アイデア出しや校正など、具体的な業務を担当してくれます。
・仲間役として: 仕事を進める際に、常にそばで支えてくれる存在です。

生成AIの活用については賛否両論あるかもしれませんが、黒船が来たときも一般市民は何が起こるのか予測できなかったと思います。まずは、波に乗ってみることも必要かと思います。そろそろ、方針として生成AIを活用せよ!という声も増えてきました。

さて、生成AIを使いこなすためには、利用者側のリテラシー向上も不可欠です。
ここでは、その中で私が感じた「生成AI活用における3つの重要なリテラシーを紹介します。

論理的なプロンプト作成力

あいまいな指示や論理的に矛盾するプロンプトでは、望んだ回答が得られません。特に複雑な指示の場合、1回の入力で期待通りのアウトプットを得ることは稀です。生成AIと対話を重ねながら、最適なプロンプトを創り出す能力が求められます。もしかすると今後は、これまで以上に国語力や算数力が必要とされるかもしれません。

生成AIのアウトプットを正しく受け止める力

ここでは2点、重要なポイントをお伝えします。

1つ目は、生成AIのアウトプットを適切に評価・取捨選択する力です。生成AIは大量の情報を出力しますが、その中から本当に必要な情報を見極めるには、一定の専門性や判断力が求められます。たとえば、こちらにある程度の結論がある場合は、抜けているアイデアや観点を補ってくれるため非常に有用です。しかし、受け手側に判断力がない場合は、その効果は半減してしまうかもしれません。

2つ目は、フィードバックを活かす力です。私は自分の日記を生成AIにかけてフィードバックを受けていますが、フィードバックの量が多すぎて、ついつい表面的な読み込みになってしまいます。フィードバックを価値あるものにするために、じっくり読み込み、次のアクションを明確にする力が必要です。私の場合は、生成AIから受け取ったフィードバックに対して、自分の気づきを生成AIに伝え、次のアクションを明確にしています。

現実世界で蓄積された体験の重要性

最近、『The STAGES Matrix』という成人発達理論に関する論文を学んでいます。この論文では、人間の発達を以下の3つの階層に分けて説明しています。

  • Concrete Tier
    幼児期から児童期(0~12歳頃)を中心とする層。
    目に見える対象に、実際に触れたり観察したりすることで理解を深めていきます。
    この段階では、基本的な人間関係、身体的な自己認識、社会的スキルなどを学びます。
  • Subtle Tier
    青年期から成人期(12~40歳頃)を中心とする層。
    目に見えない思考や感情を観察・考察し、哲学的な問いに関心を持ちながら、
    複雑な人間関係やシステムの理解を始める段階です。
  • MetAware Tier
    成人中後期から老年期(40歳以上)にかけて発達する可能性がある層。
    多様な考え方を同時に理解し統合することで、自己を超えたつながりを感じ、
    複雑な問題を多角的に捉え、より深い気づきと知恵を得る段階です。

この理論の中でとくに重要なのは、「Concrete Tierでの多様な体験」がその後の発達に影響するという点です。たとえば、虫を集めたり、人形で遊んだり、友達とけんかしたりといった幼少期の実体験が不足していると、Subtle Tierでの健全な成長が難しくなるとされています。

たとえば、物理の加速度の理解においても、実際に高いところから物を落としてその動きを観察した経験がある場合と、そうした体験がない場合とでは、理解の深さに大きな差が生じると考えられます。

生成AIはまさに「Subtle Tier」の世界を散策するツールです。子供時代の実体験が、その後の生成AI活用度に大きく影響する可能性があると考えています。だからこそ、我々も、新しい土地に足を運び、新しい人と出会い、多くの対話を通して「現実世界での生の体験」を重ねることが、今後ますます重要になってくると感じています。

生成AI活用の取り組み

最後に、「成人発達理論×生成AIで評価制度を構築できるのか?」プロジェクトについて、ご案内します。現在、以下のような取り組みを進めています。

  • 行動基準の策定
     成人発達理論を活用し、等級別・職種別に求められる行動基準を策定(すでに完成)。
     noteでプロンプトも公開しています。
     https://note.com/growthen/n/nc6a6295afb33
  • 1on1ミーティングの評価
     上司と部下の双方へのフィードバックを実施(完成済みだが、さらなる探求中)。
  • 昇格レポートの評価
     5つ程度の問いに対して、それぞれ100文字程度の回答を提出してもらい、
     その評価や課題をフィードバック(検証中)。
  • 発達段階の測定
     リフレクションジャーナルを作成し、発達理論に基づく測定および課題に対するフィードバック(着実に実施中)。

このプロジェクトは、私自身の楽しみでもあり、皆さんとともに新しい世界を創っていきたいという想いで取り組んでいます。情報はすべてオープンにし、皆さんからお題やご意見をいただきながら、生成AIの活用方法をさらに高めていきたいと考えています。
しばらくの間は、不定期でセミナーを開催していく予定です。

▼成人発達理論×生成AIで評価制度を構築できるのか?〈探求報告:第一弾〉
 日時:2025/04/25(金) 10:00~11:00
 詳細申込:https://www.growthen.co.jp/seminar/20250425/

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