コラム
Vol.177 学び方の型を持つことの大切さ
メルマガ
2025/05/29
学び方の型を持つことの大切さ
最近、成長において最も重要な要素は「言葉にすること」だと感じています。体験したことや他者の理論を自分の言葉に翻訳し、自分の知識の倉庫に格納するプロセスが大切だと思います。
私はコンサルティング時代に「言葉にすること」を思う存分に実践できる環境に恵まれていました。
1日の労働時間のうち約3/4を資料作成に費やし、文章表現に多くの時間を割くことができたため、この頃に飛躍的に文章力が向上したと実感しています。今でも資料作成が好きですし、メルマガなどで言葉を紡ぐ作業が大好きです。
ここで、加藤洋平氏の『成人発達理論による能力の成長 ダイナミックスキル理論の実践的活用法』からの抜粋をご一読ください。
本来、「実践」というのは、自分の知識や考えを検証する行為のはずです。そうした行為が、体験知を経験値に変え、持論を育んでいくことにつながります。自分の知識や考えを具体的な活動の中で絶えず検証し、それらを深めていくということをしなければ、知識が真に我がものとなり、より高度な能力に変容していくという質的な成長が起こることはないでしょう。
端的に述べると、実践に関しては特に、「言語化」という実践が多くの人の中で圧倒的に欠落しているように思います。確かに私たちの日々の生活の中では、言葉にならないような身体感覚や感情などが常に存在しています。しかしながら、私たちはそうした身体感覚や感情を言葉にしないことによって、しばしばそれらに翻弄されることが起こります。
加藤洋平(著)『成人発達理論による能力の成長 ダイナミックスキル理論の実践的活用法』
上記の文章を参考に、「スキル習得」「思考整理」「感情コントロール」の3つの視点で「言葉にすること」の効果について考えてみたいと思います。
スキル習得の視点
スキルとは、複数の動作が組み合わさってひとつの成果を生み出すものです。たとえば「リンゴの皮を包丁でむく」というスキルひとつをとっても、
・左手でリンゴを回す
・右手の人差し指で包丁を固定する
・右手の親指で皮の厚みを調整する
といった、複数の動作の組み合わせで成り立っています。これらを「言葉にする」ことで、改めてその複雑さに気づくことができます。こうして言語化することによって、自分がどの要素をどう制御しているかを明確に自覚できるようになります。スキルとは、これらを制御・コントロールできるようになることです。
現在、カート・フィッシャーのスキル論を学んでおり、スキルとは何かを自分の「言葉にするため」にこのコラムを書いています。「言葉にすること」で、新しいスキルとして活用できたり、応用できたりできるようになります。
思考整理の視点
頭の中だけでシミュレーションを続けると、ワーキングメモリ(短期記憶)がすぐに満杯になり、思考が散らかりやすくなります。そこで、言葉にして外部に記憶を移すことで、ワーキングメモリに余裕が生まれます。これにより、情報をより深く分析できるようになります。
さらに、言語化によって自分の思考が「対象」として切り出され、「言葉にしたもの」を俯瞰的にメタ認知できるようになります。自然と筆が進んだり、新たな発見が生まれたりするのも、言葉にすることの面白さだと言えるでしょう。
感情コントロールの視点
内面や感情を言葉にすることで、それらを客観視しやすくなり、感情に振り回されにくくなります。
さらに、自分の感情を言語化することで、自己共感が高まり、ストレス耐性や自己肯定感の向上にもつながります。実際、感情日記を書くことで傷の治癒が早まるという実験結果も報告されています。
このほかにも、言葉にすることには多くのメリットがあります。ぜひ皆さんのビジネスシーンで、言語化の機会を増やしてみてください。
例えば、
・相手に送るメールの文章中に、自分の内面を表現する。
・会議中に、質問したいことや、学んだことをメモする。
・料理中に、今日の気づきをボイスメモに入れる。
・朝起きたら、3行夢日記を書く。
・スマホの音声メモを生成AIに投げて、要約だけを受け取る。
など、短時間でできる「言葉にする」型を模索してみてください。
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