コラム
成長を支えてくれた「本当に何もしない」上司
コラム記事
2024/06/25
成長を支えてくれた「本当に何もしない」上司
私の社会人人生のなかで、一番成長を支えてくれた上司は「本当に何もしない」上司でした。
あるとき、自分のキャリアの棚卸をしたときに、その「本当に何もしない」上司のもとで働いた時代に大きな成長をしていることに気づきました。
その時の課は、
・入社4年目が2名、入社3年目が1名(若手ばかり)
・定年間近の社員が3名(おじさんばかり)
という構成でした。
「本当に何もしない」上司は、
・朝「おはようございます」ととても大きな声で現れます。
・昼「島ちゃん、今日は暇だね~」と爪を切りながら、声をかけてくれます。
私は、内心(いつも、あなたは暇でしょ)と思っていました。
・報告書は、軽く見て「はい!」と力を込めて押印してくれます。
我々が作成した書類は修正することはありません。
・会議では、我々の意見を否定することはありません。
・夕方、お客様と麻雀をしに早々に退社します。
この上司の偉大さに気づいたのはつい最近です。よく考えると、保身的な行動がないのです。
自分が何もしてない罪悪感があると、
・ついつい報告書を添削したり、
・ついつい会議で意見を述べたり、
・ついつい我々に指導したり、
しがちですが、「本当に何もしない」に徹していました。
あるとき、来期の方針を作るべく、当時習いたてのSWOT分析をやって、戦略的な方針を固めました。僕らが立てた方針は「暴走」に近いものでしたが、その方針に、その上司は「いいよ」と一言だけ言ってくれました。
この「暴走戦略」が本社に見つかり、本社から「説明に来い!」と言われ、私とその上司は本社に行きました。その上司がとった行動は、説明の場がスタートしたと同時に、「申し訳ございません」と大きな声で机にひれ伏したのです。これでは、本社のメンバーも何も言えません。
「本当に何もしない」上司は、一緒に謝ることは上手でした。
この「暴走戦略」は、製油所にも多大なる迷惑をかけましたが、結局誰からもお小言はもらいませんでした。何も指導せず、責任は担うということを体現してくださり、もしかすると陰でいろいろ動いていてくださったのではないかと思い巡らせております。
そんな上司の偉大さにふと気づいたので文章にしてみました。
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