コラム
Vol.180 生成AIを活用して内省力を高める
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2025/08/28
生成AIを活用して内省力を高める
これまで私は、生成AIを活用して、評価基準の作成や1on1ミーティングの評価、自由記述回答をもとにした評価など、さまざまなトライアルを行い、その結果をセミナーの場でも共有してきました。
その中で、私自身が最も効果を実感しているのが、「生成AIを活用した内省」です。次回のセミナーも、このテーマで開催します。最近は特に、成人発達理論の学びや研修設計を通して、人の成長に最も有効なのは「経験学習」だと確信するようになりました。つまり、「内省する力」です。
内省の3つの価値
内省の大切さは、大きく3つに整理できます。
- 機会を主体的に捉え直し、最大限に活用できる
例)「この失敗は辛かったけど、次のステップのために必要な経験だった」 - 体験を言語化し、再現可能性を高められる
例)「今日学んだスキルをノートに整理して、次回も使えるようにする」 - 感情や本能(=生存脳)に左右されにくくなる
例)「怒りを出してしまったが、内面を探ると“上司に認めてほしかった自分”に気づけた」
今回は、この3つ目の「感情や本能(=生存脳)に左右されにくくなる」について、少し掘り下げてお伝えします。
三位一体脳モデルと感情の影響
私たちの脳は、一つの臓器でありながら、進化の過程で積み重なった3つの層で構成されていると言われています。これは、米国の神経科学者ポール・マクリーンが提唱した「三位一体脳モデル(Triune Brain Theory)」に基づく考え方です。このモデルによると、脳は次の3つの部分に分類されます。
- 爬虫類脳(生存脳)
これは脳幹や小脳にあたり、呼吸や心拍といった生命維持のほか、「逃げる・戦う・食べる」といった本能的な行動を司ります。ビジネスの場面では、たとえば緊張のあまり意見が言えず黙ってしまったり、反射的に話をさえぎってしまうといった反応に表れることがあります。 - 旧哺乳類脳(情動脳)
大脳辺縁系にあたり、喜び・怒り・恐怖などの感情や記憶を司ります。たとえば、会議で否定されたときに悲しくなる、仲間と楽しく仕事をするとプロジェクトが進む、といった感情の動きがこれに関わっています。 - 創造脳(新哺乳類脳)
大脳新皮質にあたり、言語・論理・創造性・未来予測など高次の機能を担っています。ただし単独で働くわけではなく、生存脳や情動脳の影響を受け、感情や本能が思考や判断に色をつけます。
内省で感情・本能と付き合う
こうした背景からもわかるように、私たちの思考や行動は、生存脳や情動脳に大きく影響されています。もしそれを自覚しないまま行動を選び続ければ、無意識に仲間との信頼を損ねたり、自身の評価を下げてしまうことにもつながりかねません。だからこそ、これら感情や本能との「付き合い方」を成熟させることが、内省の重要な役割だと感じています。
特に「書く」ことは、自分でも気づいていなかった感情やニーズを浮かび上がらせ、それらを客観的に捉え直すきっかけになります。必ずしも感情を直接書く必要はありませんが、言葉にして外に出すという習慣が、内面の整理と成長を加速させます。私自身、これまでコンサルティングレポートや提案書、研修コンテンツ、そしてこのメルマガなど、大量の文章を書いてきましたが、それがまさに自分の成長を支えてくれたのだと、今ははっきり実感しています。
生成AIで「書く習慣」をサポート
今は、生成AIがこの「書く習慣」をサポートしてくれる時代になりました。たとえば、以下のような問いかけをしてくれる振り返りアプリを、生成AIで作成してみました。
・自分へのねぎらい:今日頑張ったことと、自分を称える言葉
・嬉しかったこと:今日のハイライトと「なぜ嬉しかったか」
・感謝したこと:助けられた出来事と、その相手や場面
・モヤッとしたこと:事実(起きたこと)と解釈(受け取り方)
・真似したいこと:誰のどの行動が参考になり、どう取り入れるか
こうしたやり取りを通じて、自分の内面と向き合う時間が自然に生まれ、内省が深まっていきます。
このような「生成AIを使った内省」の取り組みについては、下記のコラムでも詳しく紹介しています。
▼関連コラム:生成AI×内省の可能性
https://www.growthen.co.jp/column/20250825/
ぜひ皆さんも、自分なりの「生成AIとの付き合い方」を見つけてみてください。
書く習慣が定着すれば、思考や感情の整理がしやすくなり、成長のスピードも変わってきます。
次回のセミナーでは、生成AIを使ってどのような内省をしているのか、参加者の皆さんと情報交換をしたり、この振り返りアプリを実際に使ってみた感想を共有したりする予定です。
「生成AI×内省」に関心のある方、ぜひご参加ください。
▼生成AIで人事制度はどこまで構築できるのか?
探求発表会〈第四弾:内省と自己成長のためのAI活用編〉
日時:2025/09/26(金) 10:00-11:00
申込: https://www.growthen.co.jp/seminar/20250926/
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