コラム

Vol.181 リーダーシップ発揮に必要な6つの思考

2025/09/30

リーダーシップ発揮に必要な6つの思考

リーダーシップとは何かという定義は様々ありますが、リーダーシップが発揮できている行動は?と研修の受講生に聞くと、以下のような意見があがってきます。

「組織のありたい姿を示している」:将来構想力がある
「問題が発生したときの対処が早い」:状況対応力がある
「相手の立場に立って考えられる」:視点取得能力がある
「冷静に判断できる」:感情コントロール力がある
「相談しやすい」:時間管理力がある
「活き活きしている。仕事を楽しんでいる」:専門分野を持っている。自分らしさを知っている

少し横道にそれますが、研修とは抽象を伝えていると思っており、抽象を抽象のまま受け取って終わりの人と、抽象を具体化できる人の気づきは大きく異なります。
例えば、「弱みより強みを伸ばす方が良い」という抽象的なメッセージを受けて、①そのまま受け止める人と②自分の職場の状況に当てはめて考えられる人では、発言の質が大きく変わります。

①抽象レベルに留まる人の気づき
「弱みを直すより強みに集中した方が効率的なんですね」
「強みを伸ばすって大事だなぁと思いました」

②具体化できる人の気づき
「Aさんの育成で、もっと違った視点でトライができそう」
「職場の心理的安全性を高めるのはやはり大切(安心して強みを発揮できるという理由から)」

②の人は具体化したり、他の抽象と融合して新しい気づきを創発することができます。この「抽象⇔具体」を行き来する思考が状況対応力の1つだと考えています。

話をもとに戻します。リーダーシップが発揮できている行動を発揮できるためには、次の6つの思考が大切だと考えています。

●時間軸の往復ができる(過去⇔未来)
リーダーには、組織の「ありたい姿」を示すことが求められます。ただし、その「ありたい姿」とは未来を予知するものではなく、過去の経験や蓄積された情報をもとにシミュレーションした仮説にすぎません。したがって、過去と未来を行き来する思考が不可欠となります。

●抽象度の往復ができる(具体⇔抽象)
未知の問題に直面したり、新しい挑戦に取り組むときには、自分の経験則やビジネス理論といった抽象的な枠組みをもとに、起きている事象を具体的に考える力が求められます。逆に、目の前の具体的な事象を抽象化し、知識や経験として整理・蓄積しておく力も必要です。したがって、抽象と具体を行き来する思考が不可欠となります。

●視点の往復ができる(自分⇔他者)
リーダーには、人を動かしたり、高い難易度の調整を担うことが求められます。その際に重要なのは、相手の視点に立ち、双方にとってメリットのある妥協点を見いだす能力です。したがって、自分と相手の視点を行き来できる思考が不可欠となります。

●認知と感情の統合ができる
リーダーには感情に左右されない冷静さ、客観性が求められます。したがって、感情に影響を受けにくい思考を身につける必要があります。

● 忙しさと余白の緩急がつけられる
「忙」という字は、「心を亡くす」と書きます。つまり、忙しい状態では気づきが浅くなり、これまで解説してきた“思考の時間”を確保できず、反応的に仕事を繰り返してしまう可能性が高いのです。だからこそ、仕事に緩急をつけ、余白を持つ力が求められます。

●自分らしさを発揮できる
自分で仕事をコントロールできるようになると、徐々に自分らしさを表現できるようになります。その土台となるのが専門性です。専門性を身につけるには自己学習が欠かせません。他者が持っていない知識や知見を習得したり、自分の得意分野や好きな領域を広げたりすることで、強みが磨かれていきます。だからこそ、専門知識を身につけることが重要なのです。

ここまで書いて、言いたい結論は「リーダーシップは思考力」ということです。逆に、健全な思考力が伴っていれば、「カリスマリーダー」「支えるリーダー」「指示型リーダー」どのようなリーダースタイルでも活躍できると思っています。

そういった意味で、思考力を兼ね備えた、自分らしい、自分が力を抜ける、自分がやりやすいリーダーシップを模索していただければと思います。

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