コラム

セミナーレポート
成人発達理論を管理職・マネジャー育成に活かす~マネジャーを忙しさから解放し、マネジメントの質を上げる~

2023/08/22

本記事はHRカンファレンス2023春の講演「成人発達理論を管理職・マネジャー育成に活かす!~マネジャーを忙しさから解放し、マネジメントの質を上げる~」の内容をもとにしています。はじめに、忙しさを生み出している構造と成人発達理論の概要に触れ、なぜ忙しさからの解放研修が必要なのかをお伝えした後、「忙しさからの解放」研修の内容と事例をご紹介します。

心の成長に焦点をあてていますので、導入が難しそうと思われるかもしれませんが、弊社が実際にマネジメント研修の場で実施している内容です。役員のチームビルディングや、心理的安全性の向上、1on1のレベル向上、会議の削減など、様々な課題に応用でき、実際に効果を感じています。ここで紹介する「忙しさからの解放」の内容が皆さんの参考となればと思います。

Index

  1. 忙しさを生み出しているのは自我
  2. 成人発達理論の概論
  3. マネジメント力向上の鍵は忙しさからの解放
  4. 成人発達理論の教育への応用
  5. 研修事例の紹介
  6. 最後に

忙しさを生み出しているのは自我

自我に支配されることで生じる問題

自我はとても大切なものですが、時に私達を支配し、反応的な行動に導くことがあります。たとえば、
・役員が自分の身を守るために、大量の資料作成を部下に要求する
・事業部長が自分の部門を守るために、不都合な意見に反対する
・マネジャーが自分の時間を守りたいので、仕事を抱えて部下に任せない
等々、「自分の」というところが自我です。

厄介なのは、自分の自我に無自覚で、反応的な行動に対して、正当な理由を見出そうとすることです。他者からは反応行動が明白に見えていても、本人はそれらしい理由をつけて正当化しようとします。そのため、本人が自分の反応行動に気づけないということが生じます。

適応課題を解決する鍵は「自我の取り扱い」

ハーバード・ケネディ・スクールで25年間リーダーシップ論の教鞭をとったロナルド・ハイフェッツ氏が、企業で生じる問題を「技術的問題」と「適応課題」の二つに分けました。技術的課題は高度な専門知識などで解決できますが、適応課題は、人々の優先事項、信念、習慣、忠誠心を変えていかないと解決できないような問題にあたります。

たとえば、若手社員の離職率低減や、資料の削減などの問題解決は、賛成する人もいますが反対する人もいるので、なかなか進みにくいと言われています。しかし、自我の取り扱い方を学ぶことで、適応課題の解決策を見出すことができます。

成人発達理論の概論

成人発達理論とは

成人発達理論とは「私たちの知性や能力が一生をかけて成長を遂げていく」という考えのもと、人の発達プロセスや発達メカニズムを解明する学問です。ケン・ウィルバー氏が、インテグラル理論の中で発達のレベルを色で表現しています。有名なマズローの欲求5段階説もこの中で表現されています。

能力の成長と心の成長

今回はスザンヌ・クック=グロイター氏の『自我発達理論』という論文を参考にお伝えします。彼女は、人の成長を水平方向の拡張、垂直方向の向上、垂直方向の低下という三つに定義しています。

水平方向の拡張は、同じ発達段階で新しい知識・スキルを習得するということで、「能力の成長」と我々は定義づけをしています。

垂直方向の向上は、意識の器の拡大や認識の枠組みの変化、これを我々は「心の成長」と言っています。1階、2階、3階とフロアが上がっていくようなイメージです。3階に立つと、いろいろな視点が身につく、視野が広がるイメージです。それぞれの段階は飛び級がなく、一つの段階を5年から10年かけてゆっくり上がるとお考えください。

垂直方向の低下はストレスや疾病などによって一時的に停滞または退行することで、ここはメンタルが少し傷ついている、のように考えてください。

心の成長は「恐れ」の変化

この『自我発達理論』によると、発達段階によって獲得できる行動もありますが、恐れや問題行動も変化すると述べられています。社会人によくある発達段階ということで、ここでは2.5から4.5までを解説します。

2.5の段階は、新入社員の一部とありますが、ほとんどの方が学生で卒業しています。恐れとしては、自分が危険な目に遭う恐れがあるので、問題行動としては急に落ち込んだり、キレたり、そういったことが起きがちだと言われています。

3.0段階になると2人称視点が醸成されます。対象の目安は主に若手社員で、周りの期待に応えることは得意ですが、仲間外れになる恐れがあるので、失敗があるようなリスクを避けたり、チャレンジを避けたりという形になります。

徐々に自分の軸ができ始めるのは3.5、スペシャリストと呼ばれる段階です。自分の専門性の発揮という行動ができるようになりますが、この専門領域を否定されるのが怖くなります。会議で自分の意見に執拗にこだわる、人材育成は後回しになる等、そのような段階と考えてください。

続いて4.0がマネージャークラスです。包括的・網羅的な思考ということで、ありたい姿も描けるようになってきます。自己決定が得意になりますが、一方で、ゴールが達成できない恐れがあるので、なりふり構わず働いたり、相手を支配したり、そのような行動が増えてしまいます。

どうしても3.5段階は自分軸で、4.0段階は組織作りで忙しくしてしまいがちなので、ここからの脱皮を図っていきたいものです。4.5段階くらいになると、自己・多様性の受容ができるようになって、少し柔らかい感じになってきます。4.5まではいかなくても、そこに対しての道筋を示すことができれば、良質なリーダーシップが発揮できると考えています。この発達段階をわかりやすく表現すると、自我の発達は「恐れ」の変化でもあると言えます。

自我(エゴ)とは?

ところで「自我(エゴ)」とは何でしょう?

私の定義では、自己の生存を守るための心の仕組みであり、自己を認識し、生きる上でとても大切なものですが、過剰になると、意図とは異なる行動を誘発してしまうものです。一般の人は自我の中にいるので、自我の存在がわかりません。資料では「真我」という表現をしていますが、この真我に触れるようになると、自我が認識できるようになっていきます。実は自我を客体化できるのは、発達段階4.5前後と、なかなか高いレベルです。

マネジメント力向上の鍵は忙しさからの解放

マネジャーが意識すべき時間配分

マネジメントの上手な人は、4象限の時間配分を意識しています。現在の仕事をしているのか、将来の仕事をしているのか。もしくは他者との関わりの時間をきちんと持っているのか、そんなところがとても必要かと思います。一方でどうしてもプレーヤーとしての業務も持っているので、ここをコントロールしていくことが一つの鍵になってきます。

マネジャーは自分で自分を忙しくしている?

一方で、マネジメントがうまくいかない人は以下のような傾向があります。
① 火消し型問題解決に終始している
② 仕事を任せることができずに忙しがる
③ (無自覚に)部下の話に耳を傾けられない
こういったことが反応行動として出てきます。

成人発達理論に基づいて解説すると、ある発達段階に達しないと将来視点の概念の醸成は難しいことが分かってきました。また、部下とのコミュニケーションに関しては、自分の意図とは異なる反応的な行動によって、部下の話に耳を傾けられない可能性があります。そこで、研修では、反応行動の取り扱いについても伝えています。ここで特にお伝えしたいのは、「自分の仕事を減らすスキル」です。自分のこだわりや正当性が自分を忙しくしている、つまり、自分で自分を忙しくしていることに気づいてもらいたいと考えています。

成人発達理論の教育への応用

なぜ心の成長が必要なのか

どうして心の成長が必要なのでしょうか。分かりやすく表現すると、能力の成長とはエンジンの馬力を高めること、心の成長とは恐れのブレーキがかかりにくくすることです。

人を評価するときには、「○○ができるけど、●●が苦手だ」というような表現になると思います。
・意思決定は早いけど、部下の話に耳を傾けられない
・方針は出ているけど、リスクを取る意思決定はしない
・忙しそうにしているけど、部下に仕事を任せられない
この例でいうと、後半部分を改善するのが心の成長の領域です。

では、どうしてブレーキがかかるのかというと、無自覚な心の声(下記事例のカッコ内)が行動を妨げます。
・(部下の本音で傷つきそうだから)部下の話に耳を傾けない
・(失敗して評価を下げたくないから)リスクを取らない
・(自分でやった方が早いから)部下に仕事を任せない
ブレーキがかからないようにするには、こういった心の声に耳を傾けられるようになることが、一つのポイントです。

成人発達理論において4.0の段階は、自分の意思で行動ができることが特徴ですが、「自分は正しい、相手は悪い」という二元論に陥りがちです。また、自分の正当性をロジカルに説明できるので、自分は正しいという枠組みから、なかなか脱皮が難しいです。

従って、この段階のマネジャーが上司や周囲の助言で行動が変わらないのは、その「正当性」が邪魔をしているからです。この正当性をゆっくり破壊していく、かつ危険度が少ないことを今からやっていきましょう。360度フィードバックもこういったものに当たるのかなと思います。

ここまでの話をまとめると、
 理解すれば行動できるわけではなく(思考の領域)
 正当性を失うという無自覚な恐れが(感情の領域)
 反応行動を生んでいる(体の反応の領域)
ということです。そのため、正当性を破壊するためには、思考だけでなく、感情や体の反応の領域も考慮する必要があります。

具体的な方法としては、無自覚な反応行動に自覚的になることや、妄想や恐れの正体を明らかにすることが挙げられます。これらを通じて、自分が変わり、周囲が変わる体験をすることで、反応的な行動(恐れのブレーキ)が軽減され、優れたリーダーシップが発揮できるようになります。

研修事例の紹介

具体的にどのような研修を実施するのか?

ここからは、実際の研修事例を紹介します。

研修は、表のようなコンテンツを用意し、いくつか融合しながら研修を組み立てています。

まずは自我の存在に気づく

まずは自我の存在に気づくところからです。この研修もチェックインからスタートします。チェックインとは感じていることをありのままに、自由に話をするということです。チェックインの体験から、自我の存在を心の構造を使って解説していきます。

心の構造という表現をしていますが、まず体の反応です。これは自分の意思に関わらず、体に起きる現象です。次が想定(妄想)で、妄想的に考えている最悪のストーリーのことです。順番が前後しますが自分の欲求は生存本能とも言い、生存本能として守りたい自分の欲求です。感情は、今の状況が自分の欲求と合致しているか否かを伝えるメッセージだと解説をしています。

チェックインが終わった後に、「チェックインをして感情が○○から●●に変化した」と言葉で表現してもらう演習をやっています。感情がどう変化したのかと聞くと、大体三つの軸が出てきます。

・体の反応:緊張していた→リラックスした
・相手との距離感:距離感があった→距離感が縮まった
・研修に対する姿勢:消極的だった→積極性が増した

一番多いのが、緊張していたという表現です。人はどうして緊張するのかという構造についてお伝えしていきます。

緊張は思考でコントロールできません。「よし、今から緊張しよう」とか、「緊張を止めよう」ということはできません。体の反応は、思考とは違う動きをするものです。どうして緊張するかというと、失敗して恥をかいたり、講師から否定されたり、そんな妄想をしているということがわかります。反応が起きるのは、最悪のシナリオを妄想しているからです。最悪のシナリオを妄想して、恐怖・悲しみ・劣等感などの負の感情が動きます。

ところが、「失敗して恥をかいても、否定されても別にいいじゃない。なぜ・何が怖いのですか?」というと、「自分の」という表現が出てきます。この「自分の」というところが、生存本能にあたります。

恐れから生じる反応行動に気づく

この生存本能が侵される妄想が生じ、反応行動が起こる、こういったからくりになっているのです。この無自覚な妄想と、それからくる反応行動というのは、企業の中でも大変多くあると考えられます。例えば、研修の場面で、失敗して恥をかくことへの不安から、「まず周りの出方を見よう」という反応行動が生じることがあります。

会議では頻繁にいろいろなことが起きます。例えば、相手に理解されない恐れから説明が長くなる人、負荷がかかる恐れから、アイデアや意見があっても発言を控える人、意思決定が怖いという恐れから情報収集に時間を費やす人などがいます。会議は自我に満ちた場と言えるかもしれません。

仕事においても、他人に嫌われたりミスを犯す恐れから過度に丁寧に仕事をするなど、生産性を落としている可能性があります。同様に、面談の場で、上司が自身の恐れから、意見をかぶせたり喋りまくったりといった行動をとることもあります。

これに気づかないとなかなか良質な面談ができないので、1on1のレベルアップにも、この反応行動へ気づくことは非常に有効です。この反応行動が、仕事の生産性を著しく落としているので、自我の存在に気づく人が多くなれば多くなるほど、組織風土は変わっていくでしょう。

ここで、皆さんも一緒に少し練習をしてみたいと思います。仕事、特にコミュニケーションの場面において、自分の意図とは異なる反応行動を列挙してみましょう。「本当は何々したいけど、ついつい何々してしまう」という表現で、言葉にしてみてください。

・「本当は何々したいけど」:意図行動
・「ついつい何々してしまう」:反応行動

メモで結構ですので、「本当は何々したいけど、ついつい何々してしまう」という表現で、ぜひ書いてみてください。研修では、これを共有した後、他の参加者の反応を見て感じたことをチャットに入力してもらいます。一番多い声は「共感できるね~」です。「みんな同じですね」そんな声が多いです。次に多いのは、「反応行動は自分にゆとり(余裕)、時間がないときに起きやすい」という意見です。

そして最後に、この無自覚な反応行動が、部下の成長可能性を阻害していたり、コミュニケーションを阻害していたりすることに気付けます。徐々に自分の中にある無自覚な自我に気づくようになり、自分の中にある本当の自分(意図行動)と偽物の自分(反応行動)の区別がつきはじめます。私達は、体の反応から欲求までを自我ファミリーと考え、これらを使って演習をしています。

なぜ反応行動が起こるのか?

厄介なのは、「思考も自我ファミリーの一員」ということです。なぜかというと、「思考を止めよう、と言って今日1日止める」なんてことはできないので、思考も実は自分の思いでは制御できないものだと考えています。

これを脳の構造的にお話していきます。

まず、体の反応が起きる理由についてです。脳というのは爬虫類脳(生存脳)から哺乳類脳(情動脳)、そして人間脳(創造脳)と進化してきていますが、人間はこの爬虫類脳がまだ脳みその中に残っています。

思考は全部の脳を通りながらいろいろなことを考えたり実行したりします。必ず基底核から脊髄を通って、体の反応を取りに行ってからいろいろな意思決定をしています。この黒い部分、生存脳を必ず通らないといけないということで、ある意味では生存脳と情動脳・創造脳との戦いと考えられます。

反応行動の奥に潜む”妄想”を見極める

ここで、妄想を見極める演習を一緒にやってみたいと思います。自分の反応行動について、反応行動の奥に潜んでいる無自覚な妄想を言葉にしてみましょう。

まず、先ほど書いた意図行動・反応行動を使って、
①意図行動を実行に移した場合に、起こると想定している最悪の現象をメモに書いてみてください。

続いて、
②想定が現実化して失われるものを”自分の○○が失われる”という表現で書いてみてください。
自分の評判や自分の時間、そういったものになります。

では、①の想定が現実化して、②が失われる可能性は何%ぐらいでしょうか? 「何%」とメモしてください。同じように、①の想定が現実化するとして、皆さんへの被害の度合いはどれぐらいでしょうか? 甚大なのか、大きいのか中位か小さいのか、これもメモしておいてください。

言語化すると、妄想が現実化する可能性は低いことや、意外と被害の度合いが小さいことがわかります。この演習を通して、妄想を言葉にしてみることで、ちっぽけなこと・しょうもないことで反応行動を取っている自分に気づけます。「なんで反応行動しちゃうんだ」のような形で、少し自分に矢印が向くようになってきます。

以下は、反応行動を出してみた気づき(受講者の声)です。
・激しく同意
・自分も当てはまる
・マネジャーが忙しいせい
・部下の能力を信じきれていない
・部下を信用できていない
そんな自分に気づくことができます。

妄想を言葉にすると、「言語化すると案外小さいものだな」と気づいたり、「(自分は)臆病だな」と気づいたり、「妄想のせいでメンバーの成長を妨げている」など、こんな形で気づけます。自分に矢印が向くと考えてください。反応行動・妄想を言葉にできると、自我を徐々に客観視できるようになります。そしてチャットなどで思いを共有するので、「みんな同じなんだ」という安心感から、この自我の存在を受け入れやすくなるというところが特徴です。

反応行動と向き合うスキル

では、「反応行動」とどのように付き合っていけばよいのでしょうか。

人間は強いストレスを感じると、戦う(闘争)or逃げる(逃走)、どちらかを選択すると言われています。戦う方は、相手に反論したり説得したりかぶせるイメージで、逃げる方は、自分の意見を飲み込むという、この二つの選択をしやすいと言われています。この逃げる方をやると、自分本位の行動が取れないので、自分にストレスが溜まります。少しメンタルダウンしていく感じです。戦うと周囲が萎縮するので、周囲にストレスが溜まる・パワハラになってしまいます。どちらも良くないので、第3の道を考えましょうという演習をやっています。

反応行動を保留し、自分の欲求を言語化して、第3の道を選択できると、自分の大切にしたい行動も表現できますが、実は相手も自分もプラスになる行動が選択できるようになってきます。研修では、先ほどの意図行動と反応行動を使って、自分の欲求を明確にし、第3の行動をとる、そんな演習を行います。

自我を手放す

さらに、忙しさからの解放の視点では、「自分が必要以上にこだわっている点や、必要以上に仕事を抱える点について、手放せることを抽出してください」という自我を手放す演習を行います。類型としていくつか載せています。この中から選んでいただいて、実際に実行策を考えてもらうというのが、研修での最後の時間になります。

スキル定着や習慣化を考慮した研修設計

研修をその場限りのもの終わらせず、しっかりスキル定着や習慣化させるために、次のような形式で提供しています。事前に動画学習、オンライン研修で2時間程度、そして事後課題を1ヶ月間という流れで実施します。

こちらが事後課題の事例です。「実践したこと、忙しさの解放度合いを教えてください」と、実践したことと実際にどれぐらいの削減時間があったのか提出してもらいます

研修事例:部長クラス対象「忙しさからの解放研修」

ある企業の事例では、部長クラス17名を対象に、忙しさからの解放研修を2時間行いました。合計で月間254時間、年間に換算すると3,048時間の時間短縮が実現しました。これはおそらく部長1.3人分の時間に相当し、費用対効果が非常に高いと言えます。

自我の存在をきちんと客観視できて、忙しさを解放できる人の割合は30%から50%ぐらいと見ており、達成度としてはこれぐらいの結果が出ますということをお伝えしています。

研修参加者の気づきについても少しご紹介します。
・部下が自発的に動いてサポートしてくれるようになった
・親切に対応してくれることがわかった
・想像以上にそのメンバーが会議の内容をよく理解して、わかりやすく報告してくれた
・自分で最良の方法を選んでいたつもりだったが、思い込みがあったことに気づけた
このような形で、基本的に部下の自主性を引き出したり、新しい一面を知ったりすることができます。この好循環を体験・共有するというのが、事後課題の役割です。

最後に

自我についてもっと知りたい方へ

自我を取り扱うことに関して、少し付加情報をお伝えしていきたいと思います。インテグラル理論によると、人の総合的な成長や発達のためには、以下の4項目を網羅的に探究していくことが必要だと言われています。

・体(Body)の領域
・心(Mind/Heart)の領域
・魂(Soul/Spirit)の領域
・影(Shadow)の領域

ここで扱ったのは、影(Shadow)の領域の本当に浅いところです。影(Shadow)は、心理学の用語で、意識から排除され無自覚・無意識化された自分の性格的な側面です。人生を生きるプロセスで生じた強烈な感情を「感情の外に追いやる=心の奥に封じ込めることで、平穏な人生を歩もうとする」というのが人間だと言われています。一方で、大切な本来の特性や性格まで封じ込めているかもしれず、影(Shadow)に向き合うことで、本来の自分を取り戻せる可能性があります。

イメージとしては、右の青い部分が皆さん本来のパフォーマンスを発揮できる領域です。生きていくプロセスの中で、このグレーゾーン(=影(Shadow)の領域)に蓋をしてきている形になります。

例えば、自由にふるまってはいけないと思っていた人が蓋を開けると、創造性を発揮できるなど、新しく解放できるエネルギーが増えてくる。そんなイメージでお考えください。

自社への導入は難しそうだと思った方へ

最後に、ここまで解説・紹介しても、「でも、導入は難しそう」という声をアンケートでよくいただきます。それに対しては、「でも(←ブレーキ)、導入は難しそう(←やったことがないはずなので妄想+自我発動)」とお伝えしています。

実際に、もう普通にマネジメント研修としてやっています。そして様々な課題に適用できるメリットがあります。役員のチームビルディングにも使えますし、心理的安全性の向上、1on1のレベル向上、会議の削減なども行っております。この事例で言うと、研修1回目2回目という形で2回目の中に、「反応行動と隠れた目的の演習」を扱っております。

この「隠れた目的」を見つけられた感想は「楽になる」「肩の荷が降りる」という内容が多いです。他にも、

・気軽に仕事をする方がいいかも
・ごちゃごちゃ考えずに
・自分は自意識過剰だと思うようにします
・自分をさらけ出して、執着せず

こういったキーワードが出てきます。自我が客体化できて、受け入れることができると楽になります。力が入っていたのがふっと抜けて、少しマイルドなパフォーマンス、マイルドなマネジメントコミュニケーションができるようになる、そんなイメージになっていきます。

「まだ、イメージが湧かない、でも面白そう!」という声が残るかもしれません。忙しさからの解放研修に興味がある方は、こちらからご連絡ください。

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