コラム

内省型リーダーシップを応用した評価者育成とは? 上司と部下が共に成長する組織を作る
HRカンファレンス2024春を終えて

2024/05/17

Index

  1. 講演を終えて(講演の補足)
  2. ご質問への回答

5月15日のHRカンファレンスにて弊社島森が「内省型リーダーシップを応用した評価者育成とは?~上司と部下が共に成長する組織を作る~」をテーマにお話をさせていただきました。 当日は時間が限られており、お伝えしきれなかった部分もありましたので、講演の補足とご質問への回答ををまとめました。

1.講演を終えて(講演の補足)

講演内容の補足と、一部の質問に回答しています。その他ご質問への回答は、2.ご質問への回答をご覧ください。

問題解決に対するスタンス

内省型リーダーシップについて、経営者をどう変えたらよいですか?という質問は以前からよくいただきます。この前提は、自分が正しい、経営者は変えるべきというスタンスになります。

これでは苦しくなるので、
作戦1)島森を経営者のもとに連れて行く(経営者の方と食事をした会社があります)
作戦2)変えられないものとして、他の領域で楽しむ
作戦3)転職する・場を変える

作戦3)は、転職しても同じような問題が引き起こされるので、やはり自分ごととして解決するのが楽しい(適切)かと思います。

ここから大切なことですが、1on1エバンジェリストとして紹介した堀井さんの1on1研修は、マネジャー側だけではなく、メンバー側も受け方のスタンス研修をしています。

客体を変えるという問題解決から、すべてが共同作業というスタンスが大切だと思います。経営者の方針がない・マネジャーが忙しすぎる・部下の自律性が低いなど、対象層の問題にはせずに、一緒に良くしていくというスタンスが大切ですよね。

成人発達理論と評価について

本当にざっくりですが、発達段階と評価について述べます。詳しくは、拙著「今の評価制度に疑問を感じたら読む本」をご一読ください。

新入社員~若手社員クラス

自分軸がないので評価が欲しいと言いますが、本当に欲しいのは(自分に自信がないので)承認です。しっかり承認を得ることで、自分軸の形成を始めます。

中堅社員~スペシャリストクラス

自分軸(専門性)を発揮したくてたまらない時期です。逆に、他者評価に重きを置いていません。この時期にしっかり学習とアウトプットをするとよいマネジャーになると考えています。この時期に忙しすぎると、ここで成長が止まるように考えています。自己学習ができる時間の提供も必要です。

マネジメント~役員

自分でゴール設定ができ、そこへの道筋を考え・実行できます。しっかり創出した成果を褒めることで良いと思います。ということで、「評価が欲しい人がいるのでは?」というご質問に対して、やはり「評価はいらない。けど、しっかり承認してあげることは必要」というのが私の私見です。

評価の負荷を軽減する評価制度とはの補足

これまで、「評価をやめましょう」と主張してきましたが、今回から柔らかい表現にしています。肝は、「昇給評価をやめて、昇格管理をしっかりやりましょう!」です。

例えば、Aさんの評価について、A評価・B評価・C評価は意見がばらけることがありそうですが、Aさんの営業力が、「営業初級」「営業一人前」「営業ベテラン」ぐらいの括りであれば、それほど意見が食い違わないと考えています。

毎年、給与評価を決める時間を、人材育成会議をやって、「来年はAさんを昇格対象にしよう。そのためにこんな課題を克服してもらおう。そのために我々もこんな支援をしよう」という会議をした方が人材育成に効果的だと考えています。

おしゃべり会では、もう少し具体的な提言をさせていただきます。

2.ご質問への回答

Q. 評価の考え方は会社業績に影響するのでしょうか?

単なる思考実験ですが、いつも「八百屋さん(小さな会社)」に置き換えて考えましょう!と提案しています。オーナー1名、社員1名、アルバイト3名の八百屋さんで、評価をしっかり運用するより、気持ちよい関係で、気持ちよい「いらっしゃい!」が言えた方が売上あがりそうではないですか?

業績に直結しない業務をできる限り減らすことが先決です。ある組織で、料理長に話をお伺いしたら、「1日の半分ぐらいメール対応しています」と困っていました。そんなレストラン行きたくないですよね。

Q. 評価が無いと、頑張っている人からあまり仕事をしていない人に対し不満が出ることはありませんか?

上記でご説明したように、昇格で差がでる仕組みがよいと思います。

実際出光興産でも頑張っている人と、そうではない人がの差が激しかったですが、今はそれも含めて家族だったんだと振り返っています。

横道にそれますが、評価制度に関する不満や不平などはアンケートを取らない方がよいと思います。人は評価が欲しいのではなく、「認めてほしい」「褒めてほしい」が根底にあります。でも、それは絶対に口にしませんし、「評価制度が問題」「上司の目線があっていない」など新たな問題を創造するだけです。

人によって、問題意識が異なるので、解決しないといけない問題が増えるだけです。そして、人は評価が欲しいのではなく、「認めてほしい」「褒めてほしい」が根底にあります。でも、それは絶対に口にしません。

Q. 喋らない部下に対してつい喋ってしまう。これも自己防衛なのでしょうか?

はい、我々は反応行動を読んでいます。

本当は部下の意見を待っていたけど(意図行動)、
ついつい、しゃべってしまう(反応行動)

この意図行動と反応行動の見える化をすることから、内省型リーダーシップの演習をスタートしていきます。自分をかえるHow toやコツはこの辺りになります。

Q. 会社のメンバーに対して、鎧を着たままであると思います。飲み会もなくなり、どんな機会があるでしょうか。

うちの会社は、首都圏以外に青森・山形・宮城・三重・福岡にメンバーがおります。SNSでコミュニケーションを活性化したり、月に1回のミーティングではチェックインに30分かけたり、社内旅行にいったり、皆さん同士のおしゃべり1on1を企画したりしています。

多分、問題は「忙しすぎてそれどころではない」だと思うので、仕事を減らす方が先ではないでしょうか?日本は、シエスタをしているスペインより労働生産性が低い=無駄な仕事をしているので。

Q. 相互変容1on1のポイントは、「相手を変えることを最初から狙わなくても、傾聴を重ねる対話の中で部下に変化が起きていくはず」というような理解で合っていますでしょうか?

はい、その通りです。

上司が部下の話をしっかり傾聴できるようになると、部下に余白が生まれ、「ところで、私の課題はなんですか?」といいます。そこまで表現されなくても、自己防衛が解除されたのちに、改善点のフィードバックができればと思います。

部下の要望に対して上司がコミットして、上司の要望に対して部下がコミットできれば、よい1on1になりますよね。

最後に

沢山のご質問・ご感想ありがとうございました。ご質問・ご相談がございましたらお気軽にお問合せください。
お問合せはこちらから

「個と組織の成長を考えるメールマガジン」購読のご案内

グローセンパートナーのセミナー情報や、メンバーによるお役立ち情報をお伝えしています。

登録はこちら