コラム

Vol.143 組織・人事の課題に対して 問題の視点を合わせる

2022/10/14

Index

  1. 組織・人事の課題に対して問題の視点を合わせる
  2. 公開型マネジメント研修の第2期募集「楽しく学ぶマネジメント研修」

1. 組織・人事の課題に対して問題の視点を合わせる

最近、制度設計や研修でお世話になっているお客様を中心に「組織・人事の問題を見立てる」というサービスを提供しております。

企業における「組織・人事の問題」は、複雑に絡まり、相互に影響しあっているので、まず問題の特定が難しいと考えています。良かれと思って問題解決することにより、新しい問題が生じることもあります。

例えば、象の飼育の問題について、
・食費が高騰しているのが問題
・糞尿処理をする人手が足りないことが問題
・象の性格が獰猛で手なずけることが難しい問題
・飼育係の人材育成の時間がないことの問題
など、人によって問題意識が変わってくると思います。

組織・人の問題は複雑かつ、組織に中に属していると全体像の把握が難しいので、外部の視点で問題を整理することが付加価値だと考えております。

「見立て」は、組織・人事のありたい状態を共有するイメージです。「見立て」という表現を使っているのは、100%の精度で共有するのではなく、まずは軽く見立てて、徐々にブラッシュアップしていこうという意図があります。最初の精度は60~70%ぐらいです。見立てという仮説を立てて、検証しながら、精度を高めていくことがよいと思います。

この見立ては、「時間軸をそろえる」「起点をそろえる」「抽象度をそろえる」ことを提供しています。

時間軸をそろえる

まずは、「時間軸をそろえる」ことですが、3年後のありたい姿なのか、10年後のありたい姿なのか、時間軸をそろえます。

会社・組織を将来軸で構想しているのは、経営層(ビジネスの将来)と、人事部門(人の将来)と限定された人しかいないのではないかと考えています。そういった観点で、現状の問題から捉えることなく、将来の視点で課題を特定することをお勧めしています。

多くの企業では、全社の方針に人事施策に関する具体的な方針の表現が少ないことが一因で、人事部門が現状の問題から方針を策定する流れになっていることが一番気にかかっています(人材育成の強化などスローガン的な表現はあるものの採用・教育などの人事施策と結びつけるのは難しい)。そういったことがないように、まずはありたい姿の時間軸をどこに置くのかを決めます。

時間軸は、3年後だと現状の問題がちらつきますし、10年後だとビジネスがどうなるのか不透明なので、5年後ぐらいの姿を想定するのがよいのではないかと考えています。

起点をそろえる

次に、「起点をそろえる」ことですが、
・環境変化(ビジネスや採用に影響を与える変化)から考えるのか?
・ビジネスモデルの変化(求められるスキルの変化や組織構造の変化)から
 考えるのか?
・組織風土の改善(経営システムや情報システムの変化)から考えるのか?
・求める人材の変化(採用方法・人事制度・教育制度に影響を与える変化)
 から考えるのか?
どこを起点に考えるか設定し、それらの連動性を確保しながら、組織・人事の問題(課題ですが)を見立てます。

経営視点・将来視点で課題を考えることにより、採用したい人材や教育したい領域が浮き彫りになります。こういった人材の割合を20%にしたいなど、KPI的な表現に落とし込めることもあります。

抽象度をそろえる

最後に、「抽象度をそろえる」ことですが、討議を進めると、どんどん抽象度が上がり、施策立案に活用できない概念になっていくので、より具体的な表現にするようにアドバイスしています。

下記のようなアドバイスをしています。

「戦略は、○○事業関連の新規ビジネスの創造」というご意見に対して、「戦略は、新規ビジネスと言っても、どのような人を育成・採用したらよいかがわかりませんよね。具体的にもう少し絞り込めますか」など、具体的な施策に落とし込めるように質問しています。

「組織風土は、トップダウン型からボトムアップへ変化させる」というご意見に対して、「階層を減らすか?本社の人数を減らすか?どのような施策と連動させますか?」なと、どの施策と結びつけるのか連動性を確保するための質問をしています。

執行役員・部長・課長・担当者の方に一堂にお集まりいただき、考え方のすり合わせ、1.5時間~2時間程度、議論の方向性の誘導をしています。

ある会社では、
「本気で戦略の実行をするつもりなのか、経営者に確認してみる必要がある」
「当初管理職層の育成が課題だと思っていたが、全く異なる課題が抽出された」
「何回も議論をしてきたが、ありたい姿がすりあっていなかったことが分かった」
など感想がありました。

ありたい姿を共有して、組織・人事の問題を見立ててから、人事施策(=来期方針)を考えることで、今までとは全く異なる施策に出会うことができます。その後の進捗管理の方法についても一緒に設計します。

来期に向けて人事方針を策定する前に、一度「組織・人事の問題を見立て」をしてみてはいかがですか?

2.公開型マネジメント研修の第2期募集「楽しく学ぶマネジメント研修」

マネジメント研修の第2期募集を開始します。

そもそも「学びは楽しい」はずなのに、会社で実施する研修は、緊張感に包まれることも多いと思います。この公開型研修は、他業種の方も集まり、「恥はかき捨て」的な心理的安全性を担保しながら、楽しく学べる場です。講師としても、企業研修とは異なる雰囲気で進められることが楽しいですし、新しい発見もたくさんあります。

概要・お申し込みはこちら
https://www.growthen.co.jp/seminar/20221216/

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