コラム

Vol.23 組織活性化マネジメントは着実に進歩している

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2010/02/15

Index

  1. 組織活性化マネジメントは着実に進歩している
  2. HRD JAPAN 2010 の事例紹介 日産自動車

組織活性化マネジメントは着実に進歩しています

2月の初旬に行われた『HRD JAPAN 2010』に参加してきました。人事マネジメントの最新情報を入手すべく、最優先で3日間参加してきました。時代の流れが分かりますし、何よりも弊社の戦略の整理、新しいコンテンツ開発に役立ちます。

今回参加して感じたことは、
「組織活性化・人材育成マネジメントの型ができあがり、現場で活用され出した」
ということです。2~3年前までは理論・トライアル的であった活動が、大企業を中心に普通のマネジメント手段として使われ出したということです。

弊社にあてはめると、これまで組織活性・個人のやりがいを引き出すマネジメントといったコンサルティングそのものが、差別化できなくなってきたという危機感もあります。

最近の「組織活性化マネジメント」「個人のやりがいマネジメント」って何だろう?その事例をご紹介します。

キリンビールがビール類課税出荷数量で首位を奪回した裏には、個人のやりがい・達成感を引き出すマネジメントがあった。「個人の成長が先で、会社の成長は後」「2:8:2なんでくそくらえ!」といったキーワードで、個人のやる気を引き出している。ボトムアップ手法が確立されている。

グーグルは、社員に会社組織と思わせない工夫をしている。社内には組織図はなく、職制は意識させない仕組みを心がけている。上司が招集した会議も意味がなければ部下は参加しない。全ての社員がリーダーの気構えで、「良いものを出そう!」と時間を忘れて働いている。

日産は、AI・マインドマップなどの手法を使いながら、研究開発部門の活性化を図っている。400名の研究者が一堂に会して1泊2日の合宿を実施した。部長の「もう、孤独は感じなくなりました」といい残した。

テルモでは、課長・主任・一般社員という役職とは別に、リーダーがマネジメントを行う。ライン組織の長もリーダー、横断組織の長もリーダー、未承認組織の長もリーダーと名乗りを上げれば、全員がリーダーになれる。だから、主任が課長の人事評価(上司と部下が逆転)をすることも。

事例の詳細は、次の章に譲るとして、これまでのマネジメント手法の否定から一歩進歩し、それぞれ独自のスタイルで組織マネジメントを行っています。人事施策に対するマネジメントの高度化を感じました。

特徴的なのは、その背景には、組織マネジメント・やる気を引き出すマネジメントの理論体系が存在していること。そして、サーベイで組織の課題を特定し、その課題解決の打ち手を考え、実行し、その効果を測定するというマネジメントが存在することです。理論を手法として確立して、マネジメントとして定着を図っています。

一方で、痛感したのは、「組織マネジメントに関する企業の情報格差」です。優秀な経営者がいる会社では、その手法の有効性が理解され、優秀な部門長がいる会社では、部門マネジメントとして新しい手法が試され、優秀な人事企画部門があれば、最新の情報を活かして人事施策が打てる。しかし、HRD JAPANに参加しているのは、日産であり、東電であり、オリエンタルランドであり、ソフトバンクであり、大企業がほとんどです。その情報格差が広がるばかりです。その点に問題意識を持たざるを得ません。情報が入手できる企業はどんどん強くなり、そこに時間と手間をかけられない企業との格差が広がる。

そこで、提案です。

組織マネジメントの最新情報を皆さんで共有したいと思います。皆さんと一緒に中堅・中小企業は何をやったらいいかをディスカッションしたいと思います。こちらでもコンサルタントが2~3名参加します。

3月初旬に一緒に今後の組織マネジメントを話しませんか?
まだ、日程は決まっていませんが、志がある方はご一報ください。

HRD JAPANの事例紹介 日産自動車

日産自動車 第二製品開発本部 部長 金子晃氏から
 現場社員の主体性が組織を変える
 研究開発部門におけるパフォーマンスイノベーション活動
というテーマでお話を頂きました。

AI、プラウド&ソーリー、マインドマップ、エンゲージメントサーベイ、、、聞きなれない言葉かもしれませんが、このようなツールを使って日産は組織の活性化を図っています。数年前(もっと前のものもありますが)から輸入された組織マネジメントのツールを企業が使いこなし始め、成果が出ているということが驚きでした。組織マネジメントが理論の域を超えて、日本でも使われだしたということです。そして成功しています。

きっかけは、金子部長が現場の若手とランチミーティングをしていた時のことです。不平不満や愚痴をいうチームメンバーと、明らかに現状に満足しているチームメンバーがおり、その差は何か?を追及すると、そのチームリーダーは上記の手法を使って、組織を活性化していることが分かったそうです(感度が高いです)。それを知った瞬間、「いいものはやろう!」ということで決まりました。
試行錯誤、まさに試行錯誤の連続という感じでした。コアメンバーで何度も合宿をやり、400名全員で1泊2日研修をやったりしながら徐々に形ができてきています。ダニエル・キム教授が提唱する、関係の質⇒思考の質⇒行動の質⇒結果の質というセオリー通りに、関係の質の改善が進みました。そして、1部の人に思考・行動の変化が表れている状況です。

最後に感想です。
組織マネジメントは理論から脱皮して実社会のマネジメントツールになりました。それをいち早く導入できた会社は成長し、そうでない会社は脱落すると思います。これは、成果主義のような表面的なツールではなく、本当に人を動かすツールですから、この重要性を早く経営者が認識するべきと考えます。金子部長の「もう、孤独は感じなくなりました」という言葉が印象的でした。

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