コラム

Vol.29 これからの経営に必要なものは、理性か?感性か?

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2010/11/18

Index

  1. これからの経営に必要なものは、理性か?感性か?

これからの経営に必要なものは、理性か?感性か?

先日、ある会合で、ラグビー元日本代表&神戸製鋼の元キャプテンの林敏之氏と隣り合わせになりました。最初は横に座っていたので、分からなかったのですが、最後に名刺交換をしてびっくり感動しました。特に、第43回全国社会人大会 神戸製鋼×三洋電機の伝説の逆転優勝を思い出しました。当時は、ウィリアムスの逆転トライを見て、鳥肌が立ったものです。

さて、林敏之氏は現在研修講師や、NPOで子供たちにラグビーを教えているのですが、そのことから話をしたいと思います。まずは、林さんのHPからの引用です。

私は、鮮やかなものを求めてラグビーをプレーし、今この瞬間に浸りきる事によって、湧き上がる感動を体験しました。とめどなく涙が流れた時、作れない、飾れない、紛れもない私がいて、真実の瞬間がありました。

現役時代を振り返ってみて、この湧き上がる感動体験が人間にとって非常に貴重であると思うのです。何も湧いてこなかったら、人に言われたとおりに生きて行くしかありません。涙がない、怒りがない、笑いもない、そんな中から夢や憧れだって湧いてくるわけがありません。すべて同じところから、つまり感性から湧いてくるのです。

ところが現代は「乾いた時代」と言われます。乾いて水分がなくなったら、お絞りでもかさかさになって軽くなるように、人間も軽くなって、生きる事や命までもが軽くなってしまいます。適度な湿り気、潤いが必要ですが、それらも感性の中からしか湧いてきません。

「人間がどう生きたかは、何に対してどうときめいたかによって決まる」と言われます。だから乾いてしまって、ときめきが薄い人、感性が鈍い人は、生きている事が鈍いと言ってもいいでしょう。そういう意味で感性は「私」そのものであると言っても過言ではありません。

36歳で現役を引退し、私は感性をこのように捉え、湧き上がるものを伝えようと、感性教育の道を求めてきました。
いまだ道半ばではありますが、これを人生のワンテーマとして、活動していきたいと思っています。


http://www.t-hayashi.jp/

林さんの想いがビンビンに伝わってきます。実は、弊社のお客様も林さんの研修に参加をしており、毎回涙を流して帰ってくるようです。私も一度セミナーに参加したいと思っています。

さて、私の話に戻ります。私も現代の経営において、理性に傾き過ぎたことによる危機感を持っています。理論で攻めると、「目標管理」「成果主義」「報酬による動機づけ」など小手先な施策に陥ってしまうと思います。また、時間を管理し、労働生産を上げて、内部統制を行い、どんどん社員のやる気をそいでしまう気がします。そこには「乾いた関係」しか残らず、信頼関係・アイデアの創出・最後までやり抜く力は出てこないと思います。大量の時間を共有し、自分の限界までやりきり、そして仲間と協業しながら何かをやることが大事かと思います。「ウェットな関係」が会社には必要なんだと思います。

先日、ある会社のプロジェクトのタッチダウンが終了しました。必ず社長表彰などのイベントを入れるのですが、今回も社長賞・部長賞などを準備しました。社長賞は、ある自分の実力の限界を感じ、それでも最後までやりきったリーダーに渡されました。

彼のメッセージです。

前回のプロジェクトと比べ物にならないくらい辛かった。すごく楽しいと思ったけれど、辛かった。リーダーをすることの難しさを痛いくらい感じた。漠然とした目標に対して、明確なビジョンを持って取り組むことの大事さみたいなものも感じた。そして、そんな力量が自分にはない様にも感じた。

彼は、社長賞を受けた時に、涙を流しました。表彰のコメントも涙で何も言えませんでした。その涙に、プロジェクトメンバー達も駆け寄り、これからもリーダーについていくと一晩中話していました。

これが、感性の経営であり、社員の成長であり、社員の一体感に結び付くと思います。感性の重要性を理解したものが、次の時代のいい会社を作れると思います。

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