コラム

Vol.64 評価制度のマネジメント・人材育成機能を強化する方法

2015/11/12

Index

  1. 評価制度のマネジメント・人材育成機能を強化する方法

評価制度のマネジメント・人材育成機能を強化する方法

最近は年に10件以上の評価者研修を実施しており、ここ1年で一番整理されたのが評価制度にかかわることです。評価の機能は、処遇の決定だけではなく、「マネジメントの定着」と「人材育成の促進」とは理解しているものの、実際に現場でその機能を発揮できている会社は少ないと思います。今日は、評価をマネジメント・人材育成の側面から機能させるための方法についてお伝えします。

評価者研修を実施する時期は、3~4月など業務のピークの時期が多いです。評価者研修の開催にあたり、人事担当者の挨拶は「お忙しい時期に申し訳ございませんが…」という謝罪からスタートすることが多いです。そのような状況で、ずっとやらされ感なく効果的な評価者研修を開発すべく力を注いできました。

その結果、受講者からのアンケートには、
・今まで受講した研修の中で最も楽しくためになった研修であった。
・面談は聴く事が大切だと改めて認識した。
・自分を内省することができた。
・フィードバックの演習が面白かった。
・時間が長かったが内容が充実していた。
・前回受講した管理職研修より納得感があった。
・参加型であきることなく研修を受けられた。
など評価をいただけるようになりました。

本日は、評価制度のマネジメント・人材育成機能を強化し、評価者研修を主体的に参加してもらう方法をお伝えします。

まず、評価者に伝えているのは、評価には「絶対評価」と「相対評価」が存在するということです。絶対評価とは、客観的基準(絶対基準)に基づいて、優れているか?劣っているか?の評価を決定する方式のこと。相対評価とは、被評価者が属する母集団のなかで成績順に序列をつけ、その中の相対的な位置において、優れているか?劣っているか?の評価を決定する方式のこと。評価制度において、この絶対評価と相対評価をはっきり区別することが大切だと言っています。

結論から言うと、「一次評価者には報酬を決定する権限はない。仕事と人材育成のPDCAをしっかり回すことに注力して欲しい」と説明しています。現場は、目標管理や行動評価をする以上、必ず絶対評価で運営します。そういった意味で、評価者は期首に上司の仕事と成長の期待値を示し、その期待値より上回ったら良い評価、下回ったら悪い評価をつけるだけです。ものすごくシンプルなのです。

一方で、マネジメント・人材育成とは部下が期待値を下回りそうだったら、期待以上に行動を変えるようにフォローすることが評価者の役割だと説明しています。つまり、期末には部下全員が期待値を超える状態を作るのが評価者の役割だと説明しています。

しかし、人件費には予算があり、組織もポスト管理しているために、経営的側面・人事的側面では相対評価で運営しないといけません。つまり、現場の絶対評価をどこかで相対化する必要があります。それを隠すことなく、ここで相対化すると評価者にも被評価者にもOPENにします。これが評価の納得感につながります。被評価者にも、それを理解させることにより、現場での絶対評価と、相対した評価は異なることもあると言っています。つまり、マネジメント・人材育成機能は絶対評価で運営し、報酬を決める評価は相対評価で運営すると伝えます。

そして、評価者研修では、マネジメントと人材育成に特化して話をしています。目標設定は、本人へ仕事の期待値・成長の期待値を伝え、それを本人が理解しているのかを確かめるのが目標設定面談だと説明しています。評価は、その期待値に対して、成果・行動が上回ったのか、下回ったのか、お互いに認識合わせだと説明しています。フィードバックは、お互いに評価の認識があっていない場合は、それを補正する場だと説明しています。面談を通して、部下だけではなく上司が現状を認識することで、双方の育成が図れると説明します。

このあたりの具体的な内容は、来年の5月に書籍として出版したいと考えています(先日企画が通りました)。お楽しみに!

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