コラム
自我を見極めて、自我からの解放を進める方法
コラム記事
2023/05/18
自我とは何か?真我とは何か?を私なりの言葉で表現してみます。
心理学や哲学・宗教の見解ではなく、個人的なビジネス体験から言葉にしてみます。
まずは、自我とは何か?から解説します。
私の定義では、「自己の生存を守るための心の仕組み」です。自己を認識し、生きるうえで大切なものですが、過剰になると意図とは異なる行動を誘発してしまいます。端的に表現すると「無自覚な生存本能」になります。
人間の脳は、進化の過程で生存脳(爬虫類型)を包むように情動脳(旧哺乳類型)が発達し、さらにその周囲に創造脳(新哺乳類型)が発達してきました。つまり、人間の脳にはまだ生存脳が機能しているのです。
生存脳は、危険に遭遇するとアドレナリンが分泌され、即座に「戦う」「逃げる」「固まる」といった行動を選択します。現代の人々も同様に、ストレスを感じると自己を守る生存本能が誘発されてしまいます。
この生存本能をビジネスの観点から表現すると、以下のような行動が挙げられます。
- “自分の”リスクを避けるために、意思決定を先延ばしする役員
- “自分の”身を守るために、部下に言い訳資料を大量に作らせる部長
- “自分の”都合で部下を動かすために、1on1で部下の話にかぶせるマネジャー
- “自分の”ミスを防ぐために、必要以上に丁寧に資料を作成するメンバー
- “自分の”説明を理解してほしいために、必要以上に長時間説明するスタッフ
この“自分の”が自我であり、“自分の”ために行動しているのが生存本能です。人間は、企業から報酬をもらいながら、“自分の”ために行動しているのです。
しかし、“自分の”ために行動することには弊害も存在します。自我によって相手との「分離」が生まれます。
- 自分の身を守ると、相手からの信頼を失います。結果として、部下との距離ができる可能性があります。
- 自分都合で相手をコントロールすると、相手はいやいや仕事をします。これにより、部下との距離ができるかもしれません。
- 自己都合で仕事を進めると、生産性が低下し、上司との関係に悪影響を及ぼすことがあります。
- 自己都合で話が長くなると、周囲の人々は関心を失い、あなたとのコミュニケーションに溝が生じる可能性があります。
自我は、分離を生み、孤独を好みます。そして、自分の存在を正当化するために、上手に理由をつけて自己を守ろうとします。
・だって、会社のために…
・だって、部門のために…
・だって、仕事のために…
正当性で固め自我は隠れているので、自分で自我の存在にはなかなか気づけません。そして、厄介なことに思考も自我の支配下に置かれています。
では、どのようにして自我に気づくことができるのでしょうか?
もし以下のような心の声を感じるのであれば、それは真我からのメッセージかもしれません。
- 何となく、孤独感を感じる
- 何となく、つまらなさを感じる
- 何となく、本当の自分を見失っている気がする
- 自分は、本当はどうしたいのだろう
自我は、生存本能なので安全を好みます。そこに「おや?」と気づきがあるのは真我からの信号です。真我からの信号の特徴は、「何となく」感じることです。何となく感じるので、思考=自我に負けがちですが、この声を大切に生きることが大切です。
真我を端的に表現すると「本当の自分」です。
本当の自分は、分離の反対で「つながり」を求めます。
本当の自分は、安全の反対で「可能性の体験」を求めます。
本当の自分は、相手からの評価を求めず「自分が主人公」です。
何か、「新しいことを始めたい!」「相手との距離を縮めたい!」など思ったときは、自我の誘惑に負けずに、そのまま行動することが、仲間とのつながりを作り、人生を豊かにするのです。
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