コラム

Vol.48 タイにはタイの事情がある

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2013/05/23

Index

  1. タイにはタイの事情がある
  2. 『ダイアローグ型人事制度のすすめ』が発売されました

タイにはタイの事情がある

現在、タイ南部のアマタシティ工業団地で、工場の立ち上げに参加しております。広大な土地に、周辺ではどんどん工場の建設が進んでおります。タイに進出して10~20年経つ企業が多いにも関わらず、まだ建設が続いております。タイは、国民性も良く、料理も美味しいので、この国に住めない日本人は他の国に住めないと言われる理由が分かります。海外赴任でタイに来て、そのまま永住する日本人が多いのも分かります。

しかし、現地で働くのは大変です。タイにはタイの事情があるからです。今回は長文ですが、できる限り面白く整理したので読んでください。

1)仕事の事情 ~納期・時間は守らない~

こちらの工場建設でもひどい目に合っています。2度も工場建設の納期が遅れて、お客様に大迷惑を掛けています。駐在の社員も夜眠れない日々が続いていたようです。

全く文化が違うのは、
「大丈夫、○日までにできます」
「OKです」
と言うのに、当日になるとできていないことです。

最初からできないと言ってくれると対処方法があるのでしょうが、OKしておいてあとで「できません」というので、たちが悪いです。しかし、なぜか悪気が無いのは伝わってくるので、これまた大変です。これに付き合うと、胃に穴が開くと思います。これに慣れると日本に復帰できないと思います。

昨日も、13:00~ワーカーさんの勉強会があるというのに、13:00になってから、プリンターが壊れているという話になり、結局はスタート13:30~になりました。イラつくと、胃に穴が開きそうだと思ったので、30分ぼ~っと景色を眺めていました。タイのペースに慣れきってしまうことを「タイ化」と呼んでいます。

ちなみに、これには対処方法があって、「○日までにできなかったら、ペナルティーとして○○○バーツ払います」という念書を入れさせることです。こちらの工場でも、その念書を入れてからは急ピッチで仕事が進みました。結果としては、念書を入れた日程に間に合いませんでしたが・・・

2)人材事情 ~重要人物の採用は早めに~

会社をスタートするにあたり、一番大切な人材は、総務系・経理系のマネージャーの採用です。この人にはいくら払ってもよい、という人を採用するべきです。もちろん日本語ができる人に限ります。

(1)次から人材採用を一緒に判断してくれる
人を見る目が確かな人を採用すると、その後の採用がぐーんと楽になります。ワーカークラスは工場地区の掲示板に掲載しておくと、応募者が集まります。応募者の中から的確に人選してくれます。

(2)現地の手続きができる
BOI(タイにおいては外資企業における投資奨励を行っており、認可によっては多くの恩恵・特典が受けられます)の手続きや、労働許可の申請など独自のルールがあり、経験があるとすんなりできます。逆に経験がないとすんなりできないルール(?)になっています。

(3)タイの文化的な作法を教えてくれる
ワーカーとの接し方など、タイの文化的なことを教えてくれます。特に、日本の神棚のようなスピリットハウスのお供えルールなどは、我々には分かりません。

(4)買い物を手伝ってくれる
パソコンを購入したり、名刺を作ったり、文房具を買ったり・・ 立ち上げ時は購入品が多いのですが、どこに買いに行ったらよいかすら分からないので非常に助かります。プリンターが壊れたりすると大騒ぎになります。

(5)ご飯を食べるところを教えてくれる
タイでも中~上流階級の人は良いモノを食べています。決して高いモノではなく、美味しい場所を知っています。5人でシーフードをたらふく食べて、3000円程度のお店が沢山ありますので、教えて貰わない手はありません。一緒にご飯を食べてくれます。

つまり、この人の出来が悪いと仕事が進まないし、特に会計系・手続き系のお金がどんどん掛かります。このクラスになると向上意欲が高いので、休日は日本語学校に通い、自分でできる仕事を増やしていきます。
嫌な顔も一切しません。日本より良いですよ~

3)人材事情 ~タイ人男性は働かない~

工場などに行くと分かりますが、スタッフ部門は女性が多く、マネージャーも女性が多いです。実は、上で書いた総務系・経理系のマネージャーも女性です。男性が働かないのは、事情があります。

昔から、タイの男性は一生のうちに一度出家するのが習わしでした。また、徴兵制度もあり、労働提供としては不安定な男性より、女性が働いて一家を賄うようになったらしいです(ただ働きたくないだけのような気もしますが・・・)。

運転ドライバーは男性ですが、運転しない時は車で寝ていたり、ひどい時はサッカーに興じて電話にも出ないことがあります(他社での事例)。最初は勿体ないと思って工場の掃除などをやらせていましたが、あまりやらせすぎるものよくないようで、そのうちに放置状態になっていきます。でも、一生懸命日本語を覚えようと勉強しています。私がタイ語を覚えるスピードより、運転手が日本語を覚えるスピードが速く、今の私の悩みの種です。

働くという概念が異なるんだと思います。これがダイバシティか???

女性が働きに出て、夕飯まで一緒に付き合ってくれるので、家事などはどうしているのかというと、、、一部推測ですが、
子供のお見送り(意外と教育に力を入れています):パパの仕事
食事:そのために屋台がある
子育て:パパの仕事+ゲーム機(これはブラックジョーク)
洗濯:干したものはすぐ乾く
という感じです。日本と逆転しているんだと思います。

4)交通事情

渋滞が多いのがタイの交通事情です。どのドライバーも右に左に車線を変更するので、更に渋滞するような気がします。突然の割り込みや、突然のUターンや、対向車線に超えても問題なしです。傍若無人に見える交通ルールですが、何をやっても許してもらえるという優しさがあります。気に入らないとすぐにクラクションを鳴らされたり、「このやろ~」と怒られる日本とは違い、心が広いです。
マイペンライ(気にするな)がタイ人気質です。

ちなみに、我々はシラチャという地区に住んでいますが、この地区で運転手を派遣してもうとバンコク市内の地理は分かりません。当然ですが渋滞に巻き込まれます。18:30に食事の待ち合わせをしても、20:30頃に着きます。待ち合わせに間に合いそうもなかったので、私はバイタク(バイクのタクシー)に乗って移動しました(危ないので、大企業などでは乗ることを禁止されています)。

バイタクに乗ると、渋滞している間をスイスイ抜けるので(ちなみに車道と歩道の間だけ走る訳ではなく、全ての車の間をすり抜けるため、足が車やバスにぶつかりそうになり、そのタイミングで足に力が入るので股が筋肉痛になりました)、早く着きます。移動中に雨が降り出し、ついさっき覚えた「雨」という単語が使えてうれしかったのですが、体が濡れはじめました。

とその時! バイタクのお兄さんがヘルメットを貸してくれて(ということは後ろの人は通常ノーヘル)、頭が濡れないようにしてくれました。

タイ人は優しいのです。

5)食事事情

タイは屋台でも十分食べられますが、ハエの量がすごくて、お菓子屋さんなどは黒い食べ物かと思うぐらい、ハエがたかっています。お腹を壊さない屋台の見極め方を教えてもらったのでお伝えして締めくくります。

(1)料理する人の服装が清潔か
(2)料理する人の爪がきれいか
(3)お皿はちゃんと洗っているか
(4)食べ物にハエなどがつかないように気を配っているか

といった点です。ちなみに、豚肉と鶏肉は日本より美味しいと思います。ジューシーで日本より新鮮だと思います。私は、パクチーが好きなので、大盛り・お替りしてパクチーを食べています。夢のように嬉しいです。

ちなみに、タイ人スタッフも時にはお腹を壊し、1日に20回もトイレに行くことがあるそうなので、食事には気を付けてください。人に聞くのが一番ですね。。。

お知り合いの方には、日本に帰国しましたら食事しながらでも詳しくお話しします。

『ダイアローグ型人事制度のすすめ』が発売されました    

前回のメルマガでもご連絡した『ダイアローグ型人事制度のすすめ』が発売されました。対話を通じて会社の戦略実行力、人材育成力を高める方法が書いてあります。

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