コラム

Vol.61 キャリアを意識すると幸せになれない理由

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2015/05/25

Index

  1. キャリアを意識すると幸せになれない理由
  2. 部長層研修の事例紹介

キャリアを意識すると幸せになれない理由

ずっと「キャリアを意識すると幸せになれない」と主張してきましたが、ようやくロジカルに整理できたので紹介します。キャリア志向には、「今、○○を頑張れば、□□が手に入るはずだ」というという因果関係があります。将来、良い学校、良い会社、高い役職、名誉ある仕事、良い相手、良い環境、良い老後、良いお墓を手に入れるために今頑張ります。つまり、今を犠牲にして、将来の幸せを手に入れようとします。

将来は、本当に幸せになるのでしょうか?ここで、2つの場合を考えましょう。

1つ目は、上記の因果関係が成功した場合は、どのように感じるでしょうか?

東大の安冨歩教授(最近女装しています)が、ご自身が東大に受かった時に、「幸せを感じたのではなく、ほっとした」と表現していました。そこには、幸せがなかったと。キャリアプランを描き、それを実現し続ける人も、何か焦燥感を感じます。

2つ目は、上記の因果関係が失敗した場合は、どのように感じるでしょうか?

因果関係で考えると、「□□が手に入らなかったのは、自分の努力不足だ」という解釈になります。そうなると、2つ結末が待っています。「自分は努力できない悪い子だ」または、「自分が努力できないのは△△のせいだ」という解釈に走ります。表現を変えると、自分をいじめるか、他責化するかです。つまり、因果関係の中で生きる=キャリア志向で生きると幸せはなく、多くの場合は、自分をいじめたり、他責化することが多くなるということになります。

では、どうしたら幸せになれるのでしょうか?

ポジティブ心理学の分野では、この問いについて明確に答えています。

幸せは「成功に先行する」のであり、単なる「成功の結果」ではない幸せを先送りすれば、脳がもつ「成功の可能性を」を狭めてしまうことになる


出典)『幸福優位 7つの法則』 シェーン・エイカー著 徳間書店

と表現しています。

具体的には、どうしたら幸せになれるのでしょうか?
ここからは、この前参加したセミナーで体験したことです。もしかしたら、まだ学問になっていないよう領域かもしれません。結論から言うと、「パラダイムシフトすると、幸せな気分になる」という体験をしました。

普段は自分の見方からしか捉えていませんが、相手の立場に立てたとき、普段は何となく生きているが、ミッションの中で生きていると感じたとき、そんな時に、ぱっと頭が切り替わり、パワーがみなぎります。よく考えると、多くの人事施策はこのパラダイムシフトを促すことが目的だと思いました。

ローテーションも、慣れて仕事からのパラダイムシフト研修も、新しい気づきを得るパラダイムシフト評価のフィードバックも、上司の期待値を確認するパラダイムシフト360度フィードバックも、相手の目から自分を見るパラダイムシフト修羅場の体験も、自分の限界を超えるパラダイムシフト。

そういった意味で、パラダイムシフトを多くできた人は、パワーがみなぎり、幸せになり、成功を収めると言えるでしょう。

部長層研修の事例紹介

【事例】(投資信託・従業員500名)

部長クラスの行動変容を目的とした研修を開催しました。部長クラスは自分の行動にプライドがあり、なかなかパラダイムシフトしないところが難しい点です。研修を対話を重視した設計にしました。

まず、あるべき部長像の共有をワールド・カフェを使ってやり、次に、自分の身の回りで起こっている人間関係の問題をストーリーで描き、その後に、システム思考を使って、悪循環が増強されるループ図を書きます。次に、360度フィードバックを返して、人間関係の悪循環を自分が作り出していることに気づいて貰いました。最後に、行動計画を策定してもらいました。

対話を通じて、じっくり進めることにより、ほとんどの方にパラダイムシフトがおき、受講者からは、
○組織のうまくいかないことは、全て自分に起因しているということを改めて意識できました。
○部下との接し方に加え、自分が改善すべき点について気づかせてくれ、日ごろの悩みを解決できた。
○普段の業務を離れて、現在の業務を客観的に振り返ることにつながった。
などの回答がありました。

フォロー研修でも、多くの受講生が行動計画に掲げたことを実行していました。

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