コラム
1on1や面談を価値のあるものにする~マネジャーとメンバーが本音で考えていることを交換する場に~
コラム記事
2019/12/23
1on1を定着させるうえで、 Yahoo!グループの人事ポリシーである「才能と情熱を解き放つ」という意思表示が素敵だと感じています。会社のビジョン実現のために社員の成長が必要だという視点から、個人が自己実現すると会社の業績が向上するはずだという視点の転換があることです。全ての業界・企業で、この視点が成立するとは思いませんが、この人事ポリシーがあるからこそ、Yahoo!グループでは1on1が成立していることを忘れてはいけないと思います。
多くの企業が1on1を導入し始めていますが、これまでの面談の機能と大きく変わらないように見えます。どうすれば1on1や面談が、「マネジャーとメンバーが本音で考えていることを交換する機能」として働くかについて、解説していきたいと思います。
面談の目的は?
面談の目的は、成果を上げる・人材育成を図る・メンバーの行動変容を促進するなどがあります。現状の面談は、その目的達成のための手段になっていないので、多くのマネジャーは面談を無駄な時間と捉えると思います。無駄な時間を、有効な時間に変えるためのポイントを解説します。
効果的な面談にするためには、部下の認識の変化を促し、行動変容に結びつける必要があります。そのためには、下図のレベルⅣを目指すイメージです。ただし、一般的な面談は、レベルⅡを目指し、結果としてレベルⅠになっていると感じます。上司からすると面談の目的は、レベルⅡの「自分が正しいので、部下の行動を変えたい」にあたると思います。部下からすると、自分のやり方を否定されたり、上司から同じ話を言われたりするので、つい防衛本能が働き、結果として行動変容が起きずレベルⅠに留まります。これを継続すると、上司の絶望感や、部下の諦め感を醸成するだけになりかねません。
面談の効果を高めるには上司側の視点変換が必要
面談の効果を高めるためには、上司側に視点の転換が必要です。面談の目的を、「自分が正しいとは限らないので、自分の行動を変えるきっかけにしたい」と転換することで、部下の意見を受け入れる土壌が生まれます。まずは、上司が部下の話を聴く態度を明確にして、部下の発言を受け入れることがスタートです。部下の意見を受けとめて、自分の行動の変化を約束すると良いでしょう。上司が懐を開くと、その後に部下が必ず懐を開きます。自分の経験でもそうですが、レベルⅢの状態を続けると、必ず部下から「私はどのような役割を担ったら良いでしょうか?」「私はどう行動を変えたら良いでしょうか?」と確認されます。ここから、部下の認識の変化に向けた面談がスタートします。
最近は、評価者研修のフィードバック面談演習で、部下の意見を聴き(コーチングの領域)、自分の認識を変えるための練習(成人発達理論の領域)をしています。コーチングの演習をすると、受講者の皆さんは上手に演習をするのですが、評価面談の演習になると、自分の評価・視点を押し付け始めるので、その反射的な行動に留意するよう指導しています。実務に近くなればなるほど、自分の視点や自分の「正しさ」の押し付けになる傾向は否めません。
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