コラム
『ティール組織』の作り方に対する私見
コラム記事
2020/02/14
『ティール組織』が翻訳され、新しい組織を模索する機運が高まりました。『ティール組織』を読んで、自社がティール組織になって欲しいという社員や、自分たちでティール組織を目指そうという人事担当者もいらっしゃると思います。また、ティール組織を作るコンサルティングの提案もあるかもしれません。
しかし、それは偽ティール組織作りになるのではないかと思っています。個人的な見解では、まず経営者の発達段階がティールの段階にならないと、ティール組織を創ることは実現できないと考えています。『インテグラル理論入門I ウィルバーの意識論』によると、成人発達理論でティールの段階は、スザンヌ・クック=グロイター氏の『自我発達理論』で、5.0(The Autonomous Stage)レベルであると紹介されています。
現在のビジネスのフレームワークのほとんどが、『自我発達理論』で定義している4.0(The Conscientious or Achiever Stage)で構築されています。この段階は、良い・悪いという判断基準が好まれたり、ビジネスフレームワークなどが活発に活用されたりします。戦略・計画・マネジメント・コンプライアンス・評価などという概念などは、この段階の人が好んで活用します。もちろん、コンサルティングのフレームワークも、この段階で生み出されたり、提案・提言されたりします。現在の多くのビジネスリーダーたちは、この発達段階で持論を展開しています。
次の4.5(The Individualist or Pluralist Stage)で、それらのフレームワークや判断基準が機能しないことを徐々に理解し始めます。このときに、経営者が大きな苦悩を乗り越える必要があると思います。今までの手法ではうまくいかないことが分かっても、参考にする手法が世の中に存在しないからです。苦悩・試行錯誤の連続の中で、新しいルールにつながり、そのルールを組み合わせた、経営者独自の経営手法がティール組織というイメージです。
したがって、ティール組織は作るものではなく、たまたまできてしまった組織形態になります。だから、ティール組織を真似ることもできないですし、ティール組織を創るアドバイスも意味をなさないように思えます。
そして、社内の序列から生まれたサラリーマン社長では、その世界への到達は難しいように感じています。サラリーマン社長は、社長の任期が短かったり、他の人の責任に転換できたりするからです。創業社長は、自分がやったことは全て現実というフィードバックがあります。逃げられないので、状況を変えるには自己内省・自己探求しか方法がありません。そのため、自然と問題解決の方向が外ではなく自分に向き発達が促進されます。
そうは言いながらもベンチャー企業を中心に、ティール型組織に移行し始めています。ティール組織の運営情報も増えてきているので、今後多くの企業でティール組織に向けた取り組みが加速することを楽しみにしています。
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