コラム
成人発達理論の視点で中堅社員・ベテラン層・スペシャリストの成長支援を考える
発達段階3.5(自己意識的・専門家的知性)からの変容
コラム記事
2020/06/11
次の発達段階への変容には「痛み」が伴う
スザンヌ・クック=グロイター氏の『自我発達理論』によると、発達段階3.5(The Self-conscious or Expert Stage 自己意識的・専門家的知性)は下記のように説明されています。
発達段階3.5の段階は、中核社員・ベテラン社員に分布します。スペシャリストとして、専門性・特殊性を持って、自らの力で学び、それを活かそうとする傾向があります。この段階から、3人称の視点を持ち始めます。3人称視点を獲得することで、自分の専門性をどう組織に活用するかを考えたり、少人数のプロジェクトマネジメントができたりします。
一方で、この段階は新しく獲得した自己価値の発揮にこだわる傾向があり、人材育成を後回しにしたり、部門間連携などで軋轢を起こしたりします。一般的に会社組織でイメージしているスペシャリストや、後輩育成を苦手とするベテラン層をイメージすると分かりやすいかもしれません。
自己価値発揮のこだわりが、この段階から次への変容を妨げているように感じます。発達段階3.5の根底にある不安は、自己価値(専門性や特殊性)が発揮できなくなる恐れです。
自己価値発揮にこだわるあまり、相手の意見を受け入れるのが苦手であり、周囲が変容に向けて手を差し伸べようとすると、逆に拒否反応が起きます。
実際のビジネスの場面では、
- プロジェクト運営をして、自分がプロジェクトの停滞を生んでいるという気づき
- 後輩育成をして、後輩をつぶしたり、後輩を退職に追いやったりしたことによる気づき
- 専門性発揮にこだわるあまりに、仕事を抱えすぎて、体を壊すことによる気づき
- 周囲に馴染めない自分を、自己客観視して、自分が我を張り過ぎていたことを気づく
- 自分の専門性・特殊性がピークアウトしてことを認めて、新たな道を生きると決めたとき
などがあると思います。
つまり次の段階への変容には、「痛み」が伴うということです。かなり、悶々と悩み、悩み抜いた結果が、その揺れ幅が最大値になったときに変容が起きる感じがあります。
成人発達理論が体系化されていなかった時代は、この痛みを乗り越える必要がありました。そして、多くの人がこの痛みを回避する行動を選択してきたと思います。実は、その痛みは妄想なのですが。
次の発達段階への変容を安全に進める方法
この変容を安全に進める方法があります。
それはメンタルモデルを扱うことです。自己価値発揮のこだわりは、自分の未完了の過去であることが多いです。
例えば、
①親から愛情を注いでもらえなかった
②兄弟と比較されて、自分が無能だとずっと感じていた
③友達から仲間外れやいじめの体験を強いられた
などです。
①の事例で言うと、周囲から愛が欲しいがために自分の貢献を認めてもらいたかったり、
②の事例で言うと、自分の専門性を発揮して、無能だという自己否定を隠そうとしたり、
③の事例で言うと、人間関係で傷つくのが怖いので、あえて人に深くかかわろうとしなかったり、
という行動をしがちです。
つまり、メンタルモデルという存在を理解し、自分の巡り巡っている構造を理解し、メンタルデモルとの付き合い方が理解できると、その構造から抜け出ることができます。
メンタルモデルの理解は、研修の場面では表面的にしかできないので、個人コーチングやグループコーチングが適しています。同じ組織で同じ階層でグループコーチングが実施できると、お互いのオープンな関係を構築できたり、絆が深まったりするメリットもあります。
おおよそ、3~5回のグループコーチングでその変容をサポートできます。
ここで、自己価値発揮のこだわりが緩和され、次のステップに進みやすくなります。組織に馴染み、周囲の人間に馴染み、リーダーシップを発揮したり、人材育成ができるようになります。特に、人への関与の癖が自覚できるので、コミュニケーション力や人材育成力が合があります。
このような個人の変容を促すグループコーチングに興味のある方は、下記もご覧ください。
人材育成グループコーチングのご案内
自分の中にあるメンタルモデルに触れながら、グループの力を借りて、その構造を明らかにすること、お互いの自己開示を進めることで、グループのチームビルディングやグループという仕組みの中で起こっている悪循環のシステムに気づけることを体験していただきます。
人材育成グループコーチングの紹介資料
詳細は下記より資料をダウンロードしてご覧ください。
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