コラム
管理職を忙しさから解放するために
コラム記事
2022/06/13
管理職を忙しさから解放するために
管理職研修をやる度に「学んだことは実行してみたいが、時間がなくてできない」という声を聞きます。我々も手を変え品を変え色々なことにトライしてきましたが、マネジャーの忙しさの解放をしないと新たな時間を創出するのはムリ!という結論に達して「管理職・マネジャーを忙しさから解放する研修」を開発することにしました。
なぜ管理職の方は忙しさから抜け出せないのでしょうか?忙しさから抜け出せない、企業の生産性が上がらない根底にある理由を、成人発達理論の観点から解説します。
なぜ管理職は忙しさから抜け出せないのか?
自分は「正しくなければいけない」という固定観念
結論から言うと、管理職・マネジャーが「正しさにこだわってしまう自分」から脱却する必要があると考えています。
正しさへのこだわりは成人発達理論では自己主導型の段階(オレンジ段階)でよく生じます。この段階の人は、長期的なビジョンや目標を描いて、そのゴールに向かって自分の意志で行動ができるのが特徴です。一方で、そのビジョンやゴールを実現すること、さらにはそれを考えた自分自身を「正しい」と考えてしまいがちです。
こういった特徴の背景にあるのが、自分は「正しくなければいけない」という固定観念です。その固定観念から「自分が正しい」と思って行動・意思決定するので、周囲からは、時には強引に思えたり、マイクロマネジメントに見えたりします。
部下から見ると、強引であったり、マネジャーが間違っていることもありますが、オレンジ段階の人は「正しさ」を論理的に説明するスキルに長けていることも多く、部下が議論しても、論理的にかつヒエラルキー構造的にも勝てません。何度も負けると、多くの部下はやる気を失います。
このパターンが固定化するほど、管理職は自分の正しさの盲点に気づけなくなります。正しいのだからいいだろうと、自分の正しさに(時には無自覚的に)相手を従わせるようになっていきます。
たとえば、日常的なマネジメントにも現れているかもしれません。
- 部下はチームの方針を理解して動かないので、方針を浸透させる手段が必要→ベクトルを合わせるための目標設定や評価の機能が必要
- 自分の正しさに部下も合わせてほしい→良かれと思って自分の基準から部下を指導、フィードバックをする
- 部下が自分の思う通りに変わらないので、行動変容の必要がある→教育研修・変容の機会が必要
ということで、自分の正しさを前提に、いろいろな施策が創り上げられます。
自分で忙しさを生み出すジレンマ
この正しくありたい欲求は、問題が大好物で、新たな問題を発見するや否や、(正しいと思われる)新しい打ち手を打ちたくなります。もちろん、現場でやることが増えます(自分もそんな時期が長くありました)。一方で、自分の正しさを否定されたくないので、一度正しいとしてやり始めた施策はやめられません。どんどん現場でやることが増えるので、現場のマネジャーが忙しくなります。目が行き届かないことがあったり、反応的対処が増えたりして、またミスや違反が発生します。そうすると、「やはり未熟な部下には任せられない」という「正しさ」が強化され、仕事を自分で引き取ったり、さらに細かいマネジメントをするようになって、ますます忙しくなります。
このジレンマを整理すると下記のようになります。
このようにして、「正しさ」の固執から、施策が増え、現場が忙しくなります。この「正しさ」の固執が1人であればまだ良いのですが、役員や部長含めて、全員が「正しさ」を欲しがると、会議などでも混迷を極め、結局全部やることになります。会議は長くなり、正しさを主張するための資料作成もどんどん増えていきます。
管理職・マネジャーが忙しさから解放されるには?
「自分が正しい」は過去の体験から形成された信念に過ぎない
経営者・管理職においては、成人発達理論でのオレンジ段階に達することが多いと推察されます。「自分が正しい」=「周囲は正しくない」という世界に陥り、その正しさが強さや成果をもたらします。一方で、その「自分が正しい」が、誰かを知らず知らずのうちに苦しめることがあります。誰か(時には自分)を苦しめているのですが、本人は「自分が正しい」と思って行動しているので、なかなかそこに気づけないことがオレンジ段階の特徴です。
この「自分が正しい」「正しくなければならない」というのは、実は自分の意思ではなく、過去の体験から形成された信念に過ぎません。実は自分の意志で動いているのではなく、その信念に支配されている構造になっています。オレンジ段階の人は「自分の意志で動きたい」「自分は自分の意志で動いているはずだ」という信念と自己イメージが同一化しているがあまりに「実は自分の意志で動いていない」ということに気づきにくいのです。それに気づいてしまうと、それまで自分が正しいとしてきたことが崩壊してしまうという恐れが立ち上がるのです。
「自分で自分を忙しくしている構造」に気づく
管理職・マネジャーが忙しさから解放されるには、タイムマネジメントスキルやITツールを使いこなすことだけではなく、「自分の意志ではない、信念から創り出された自分で自分を忙しくしている構造」に気づく場、そしてその妄想から覚める瞬間を提供する必要があると考えています。
そのために、以下のような研修やワークショップをやってみたいと考えています。
【理論編】成人発達理論の観点から、自分たちが「正しさ」に固執しがちであることに気づく。
【体験編】「正しさ」を主張しているのは、本当の自分ではないことに気づく体験をする。
その奥にある恐れを解放する。
【実践編】恐れが解放されたら、実際に「やめること」「任せること」「許すこと」を決めて実践してみる。
また恐れが立ちあがったら、つどその恐れを解放していく。
【変容編】「正しさ」を手放しても大丈夫なことに何度も気づいていく中で、正しさから冷める体験をする。
この取組みに興味のある方は、お気軽にこちらからご連絡くださ
経営者やマネジャー自身が苦しさから解放される体験をしていく中で、現場も忙しさの低減ができ、会議や資料作りの時間含めて仕事が減ることで、投資対効果も出るだろうと考えています。できれば、何らか成果を測る・可視化することにもトライしたいと考えています。
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