コラム
時間と自我から支配されていませんか?
コラム記事
2024/01/19
トラブルで気づいた自我に支配されていた時間
年末に、家族でニセコにスキーに行ってきました。最終日に大雪が降り、レンタカーに40㎝以上の雪が積もっていました。雪降ろしの途中で車のカギをなくしたことに気づき、2時間ほど探しましたが、結局カギは見つかりませんでした。スペアキーを借りるため、札幌までバスで往復し、延泊して、カギの紛失代を含め10万円以上の損失になりました。
運転席のシートにカギを置いた瞬間は、脳裏に鮮明に残っていましたが、その後、雪降ろしを急いだため、自分の思考は完全に自我に奪われ、まるで自動運転で雪降ろしをしていたかのようでした。この時間帯は、まったく覚えていないし、意識がないと言える状態でした。そのため、カギをどこで紛失したのか、全く見当がつきませんでした。
自我に支配されている時間は、
・思考が自動運転になる
・意識が飛ぶ
・ネガティブ思考に支配されることが多い
・気づかないと、自我に支配され続ける
などの特徴があります。「自分を見失う」という感覚に近いかもしれません。
忙しいとき、余裕がないときほど自我に支配される
自我と時間は密接な関係にあります。私が講師をする研修で説明するときは、自我という表現はあまり使わず、意図行動と反応行動という表現を使っています。
・意図行動:自分で意識して、意図して選択する行動
・反応行動:自分の意識とは別に、反射的・反応的に選択する行動
マネジメント研修の演習では、「本当は…したいけど、ついつい…してしまう」という反応行動をあげてもらいます。「本当は…したいけど」の部分は意図行動、「ついつい…してしまう」の部分は反応行動にあてはまります。
意図行動と反応行動の例
・本当は部下の話をじっくり聴きたいけど、ついつい結論を述べてしまう
・本当は細かい指摘をしたくないけど、ついついいろいろ指摘してしまう
・本当は部下の意見に同意したいけど、ついつい否定してしまう
・本当は優しく会話をしたいけど、ついつい声を張り上げてしまう
・本当は注意したいけど、ついつい我慢してしまう
・本当はしっかり叱りたいけど、ついついオブラートに包んだ表現をしてしまう
続いて、「他の受講者の反応行動を見て感じたこと」を共有してもらいます。多くの受講者からは以下のような感想がでます。
他の受講者の反応行動を見て感じたことの例
・共感できます。あるあるですね。思いあたるものがいくつもある
・みんな同じなのだと安心しました
・余裕がないと、反応行動をしてしまいがち
ここで、「余裕がないと」「忙しすぎると」反応行動が増えることに気づきます。皆さんも、忙しいとき、時間がないときに反応的になる感覚はご理解いただけると思います。
時間からの解放が、自我からの解放につながる
自我は、自動思考ともいえるのですが、自動的に考えているのは、過去の後悔だったり、未来の憂いだったりが多いことでしょう。今は感じるしかできませんので、今を自動思考することはできません。この過去や未来に思考が奪われることが、自我の得意とするところです。
結局、時間に支配され、自我に支配されると、今を生きる=この瞬間を感じることができなくなり、私がカギをなくした瞬間と同じように、空白の時間(生きることに無価値な時間)を過ごすことになるのです。時間からの解放が、自我からの解放ともいえるでしょう。
人は過去に縛られて思考しがちです。「自分の実力はこれくらい」「あの人の関係性はこんな感じ」「二度と失敗はしたくない」「多分、これはうまくいかない」などの妄想に縛られて、自分を低く見積もりがちです。そうすることで、本来のパフォーマンスを奪っていると可能性があります。
過去は一切関係なく、自分には無限の可能性や選択肢が広がっているという視点で生きると、どんどん道が開けてきます。そして、今この瞬間を味わい、人生を充実させてみてください。
今年は時間の概念を切り離す気持ちでスタートしてみてください。
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