コラム

人材育成コラム
グループリフレクションの効果「経験学習の定着」

2023/12/28

グループリフレクション(以下、グルリ)は、PDCAサイクルを回すための仕組みで、2週間に1度、1チーム4人のグループでリフレクションを行います。自分自身の振り返りと他メンバーからのフィードバックを通して、お互いの成長を促す効果を期待できます。このコラムでは、グループリフレクションの効果「経験学習の定着」について解説します。

 【関連コラム】
 ・グループリフレクションとは(グループリフレクションの概要はこちらをご覧ください)
 ・グループリフレクションの効果「PDCAサイクルの定着」
 ・グループリフレクションの効果「心理的安全性の向上」

Index

  1. 経験学習モデルとは
  2. 体験を言語化する習慣が経験学習の定着につながる
  3. グループリフレクションで内省を習慣化する

経験学習モデルとは

経験学習とは、経験主義者による研究をもとに、デイヴィッド・コルブにより提案された学び方のフレームワークです。経験学習モデルは、具体的経験、振り返り(内省)、持論化(ルール化)、積極的な実験といった4つのステップからなるサイクルを繰り返しながら体験を知識に定着化させることをねらいしています。

経験学習モデル(クリックで大きく表示されます)

私は様々な人材育成手法を学びましたが、その中で「経験学習の定着」が特に重要だと考えています。成人発達理論の観点からも、経験学習は内省力を養い、発達促進に効果があると感じています。

内省とは、自分自身の解釈や価値観に触れることです。自分の経験に丁寧に向き合い、感情や気づきを言語化することを指します。内的経験を書くことで新たな気づきが生まれ、持論化したことを心に焼き付けることもできます。

毎日経験学習を行うことで、解決策の引き出しが増え続け、1年後には経験学習を行わなかった人との差は歴然となるでしょう。

体験を言語化する習慣が経験学習の定着につながる

具体的な経験を言葉にすることで、体験したことの追体験ができるようになります。また、言葉にする前提で新しい体験に臨むことで、体験の重みが増し、成長につながります。

振り返り(内省)を言葉にする

振り返り(内省)を言葉にすることで、自分の内面に焦点をあてることができます。同じ出来事に遭遇しても、その時は相手の問題だと捉えていたが、振り返ることでそれが自分の引き起こしたことであると再認識することがあります。振り返ることで、現実の捉え方が変わったり、より鮮明になったりします。言葉にすることで事実の捉え方の多様性が増すと言えるでしょう。

持論化(ルール化)を言葉にする

具体的な経験をルールや持論として言葉にすることで、次に同じ問題に遭遇した際の対処レベルが向上します。問題解決のための「引き出し」が増え続けることで、毎日の問題解決力が着実に向上していくと言っても過言ではありません。

楽しく前向きに「積極的な実験」をする

積極的な実験は、チェック後のアクションに近い概念かもしれません。成功や失敗の要因を深く見つめたときに、「次はこうやってみよう」「次はここに応用してみよう」という気持ちになります。仕事を前向きにとらえて、楽しく進めることができるメリットもあると考えています。

グループリフレクションで内省を習慣化する

グルリでは、3つの内省の機会があります。

1つ目の内省:グルリシート(振り返りシート)の記入

グループリフレクション(グルリ)では、毎回事前にグルリシート(振り返りシート)を記入します。このグルリシートの記入が、まさしく体験の言語化です。

記入の際は、PDCAの「Check」に該当する項目にできる限り多くの文章を書いてもらいます。

「Check」の項目には、
・できたこと・うまくいったこと・アピールしたいこと
・できなかったこと・改善が必要なこと・課題に感じたこと
・新しく気づいたこと
・相談事項・困っていること・その他
を記載します。

グルリシート(振り返りシート)

自分の直接体験(実体験)や内的体験(振り返りや気づき)を言葉にすることで、内省が促されます。最初は書き方がわからない、気づきに書く内容がわからないなど不安を感じることもありますが、徐々に慣れてきて、おおよそ30分から1時間程度をかけて、じっくりとグルリシートを記入するようになります。最初は約500文字の記入から始まり、次第に1,500文字程度に増えることもあります。なかには、「グルリシートを記入する時間が最も心が落ち着く」と表現する方もいます。自分の内面を言葉にすることで、新たな捉え方が生まれ、心が癒されることもあります。

2つ目の内省:グルリの場でのフィードバック

グルリ(グループリフレクション)の場では、事前に記入したグルリシートに基づいて発表した後、他のメンバーからフィードバックをもらいます。

自分の考えをグルリシートに記入した後に、他者からのフィードバックを受けることは新しい視点を獲得することにつながります。成人発達理論の観点からも、新しい視点の取り入れは発達に大きく寄与します。

よく聞かれる感想は以下の通りです。

「自分の活動に対する意見を聞き、安心感を得られた。活動が進む中で多くの気づきがあり、楽しい感覚がある」
「皆さんのフィードバックで心理的に安心して、次の行動に移ることができ、気持ちが穏やかになる」

多くの方々は、自分が行っていることに自信がなかったり、不安を感じていることが多いです。ポジティブなフィードバックを受けることで、自信を持って前に進むことができるようになります。また、多くの人は、意識していない不安が行動のブレーキになっていることがあります。このブレーキを解消することで、行動や成果、さらには新たな挑戦への道が開けます。

3つ目の内省:グルリの録画を後で振り返る

実際のグルリの場で発表するときは、緊張してフィードバックを十分に聞き取れないことがありますので、後で録画を見ることをおすすめします。録画を見直すことで、新たな気づきを得られることが多々あります。

また、他チームのグルリを視聴することも推奨します。他チームのグルリの視聴は、体験や気づきの共有、お互いの個性や価値観への理解を深める機会となります。グルリが成功している組織では、忙しい中でも他チームのグルリの視聴を積極的に行っています。

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もっと詳しく知りたい方へ

この記事を読んで、グループリフレクション(グルリ)について詳しく知りたい方、相談したい方は、下記からお問い合わせください。

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