コラム

グループリフレクション事例
部長クラスの力量が浮き彫りに~グループリフレクションで個人の思考を可視化~

2024/02/01

グループリフレクション(グルリ)は、PDCAサイクルの定着、心理的安全性の向上、経験学習の定着を目指しています。しかし、当初想定していなかった成果が得られたり、逆に組織の問題が浮き彫りになったりすることもあります。これらを物語風にお伝えします。

※グループリフレクションとは?
グループリフレクション(グルリ)は、PDCAサイクルを回すための仕組みで、2週間に1度、1チーム4人のグループでリフレクションを行います。自分自身の振り返りと他メンバーからのフィードバックを通して、お互いの成長を促す効果を期待できます。このコラムでは、グループリフレクションの効果「経験学習の定着」について解説します。
詳しくはグループリフレクションとはをご覧ください。

背景

火消し型のマネジメントスタイルから脱却し、方針策定・展開とPDCAサイクルの定着を目指す

精密機器メーカーで、各部門の部長クラスを対象にグループリフレクション(グルリ)を実施しました。これまでは火消し型のマネジメントスタイルで運営されており、方針策定・展開とPDCAサイクルの定着のためにグルリの導入が決定されました。また、社長への依存度が高く、何でも社長に相談する組織風土であったため、自主的に考え、部長クラスで連携して問題解決を図る風土への移行を目指してスタートしました。

グループリフレクションで明らかになった課題

ありたい姿に向けてPDCAサイクルを回すという課題設定型マネジメントスタイルは、誰にでもできそうに思えますが、難しいケースもあります。この企業では部長クラスを対象に実施しましたが、グループリフレクションを進めるうちに、個人が考えていることが明らかになり、その難しさが浮き彫りになりました。

PDCAが連動していない

通常、Planしたことに基づいてDo→Check→Actionを行いますが、それぞれが連動していないケースがありました。

参加者の記入例(PDCAが連動していないケース)
 Plan:組み立て精度の向上
 Do:組み立て途中の不具合の確認
 Check:誰がどのように組み立てをしているか把握
 Action:組み立て精度の向上

上記は、
・Planが具体的ではない。
・CheckにActionが書かれている。
・ActionにCheckの内容が反映されていない。
・Action(次のPlan)のレベルが向上しない。
という課題があります。

このように、CheckとActionの連動が弱い場合や、Planが常に同じであるケースが散見されます。

ありたい姿とPlanが連動していない

通常、3か月先のありたい姿をブレイクダウンし、2週間のPlanに設定しますが、それが連動していないケースがありました。

参加者の記入例(ありたい姿とPlanが連動していない例)
3か月のありたい姿:メンバー全員で新技術に挑戦する状態
Plan:毎朝決められた時間にミーティングを実施

グルリ実施をとおして、ありたい姿の概念が薄い人がいることが浮き彫りになりました。具体的にありたい姿を描けないため、ありたい姿と連動した短期の目標設定が困難なのです。

目標設定のレベルが低い・役割認識が薄い

通常、部長クラスは会社が掲げるビジョンの実現や年度方針に掲げられた戦略に関連するPlanを立てることが期待されます。しかし、自分の能力範囲内でのみ目標を設定するケースもありました。

目標レベルの低いPlanの例
・新規顧客の開拓をする部長なのに、1名の人材育成の計画しか掲げていない
・管理部門の部長なのに、あいさつの徹底やミーティング実施しか掲げていない

部長、課長、一般社員が掲げるべき目標のレベルについての理解が不足しており、一般社員レベルの目標を掲げることがあり、役割認識が薄いことが明らかになりました。

実施効果

部長としての能力があらわになり、適材適所を実現

グルリでは、グルリシート(振り返りシート)に記載された内容が先述の例のように課題が残る状態であっても、基本的にポジティブなフィードバックを行います。これは、周囲とのレベル差に気づき、自ら修正し、成長することを期待しているからです。

グルリシートが適切に描けていないと感じる人には、個別の1on1でアドバイスを提供するよう提案しますが、それでも反応が鈍いことが多いです。自分が対象であることを理解しながらも、手を挙げることに躊躇してしまうようです。

グルリは録画され、後から振り返りができるように全員に共有されます。この会社では、社長がすべての録画を視聴しました。

部長クラスの思考を可視化することで、一部のメンバーが部長としての役割を適切に果たすことが困難であると判断されました。組織の大規模な再編成が行われ、新たな部長が登用されたり、担当部長が専任になったりしました。また、残念ながら部長の退職もあり、新しい経営層でのスタートが切られました。

現在は、新しいメンバーでグルリをスタートしています。

最後に

グループリフレクションは「個人の思考を可視化」、組織改革の起爆剤にもなりうるツール

一般的には、部長クラスが理想の姿を持ち、方針を策定・展開し、PDCAサイクルを回していると思われがちですが、実際にはその前提が必ずしも事実とは限りません。成人発達理論によれば、理想の姿を描くことは、かなり高い発達段階でなければ困難です。

グルリの役割は、思考を可視化することにあります。役員、部長、マネジャー自身が自らの考え、実行したこと、そして気づいたことを言語化し、お互いに共有する仕組みです。また、あえて指導しないことも重要です。気になる点があっても、ポジティブなフィードバックを行い、人々が自分の本来の姿を表現し始めるよう促します。

プラスの効果として、自己修正が可能な人が現れ、自分が正しいと思っていたことがそうでないことに気づき、大きな迷いを感じる人もいます。これは成人発達理論の発達段階に相当します。そして、自分のマイナス面を克服できる人も現れます。

マイナス効果としては、人々の思考が丸裸になり、グルリでの発表・共有された内容に基づいて評価が決まる点があります。また、隠したり、見栄を張っているのもわかります。

グルリとは、組織によって、大改革を巻き起こす起爆剤にもなりうるのです。

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もっと詳しく知りたい方へ

この記事を読んで、グループリフレクション(グルリ)について詳しく知りたい方、相談したい方は、下記からお問い合わせください。

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